2011年11月22日火曜日

矢田神戸市政10年に対するアピール

命と暮らし守る自治体本来の役割りをはたす神戸市政へ、転換を
矢田市政10年、2013年市長選へ折り返し点にたって

2011年11月22日 日本共産党兵庫県委員会

神戸市は、矢田立郎市長が市政を担当して11月で10年となりました。また、2013年の市長選挙にむけた折り返し点になりました。

日本共産党は、子どもの医療費無料化や中学校給食の実現、国保料の引き下げなど、2009年の市長選挙、ことし4月のいっせい地方選挙でかかげた市民要求の実現へ、力をあわせて運動してきました。

ひきつづき市民要求の実現と福祉・防災のまちづくりに全力をつくすとともに、2013年秋の市長選挙で市政を転換し、国の悪政から命と暮らしを守るという自治体本来の役割りをはたす市政の実現へ、あらためて決意を表明するものです。

「開発から福祉へ」とは裏腹に

1995年の阪神・淡路大震災以来、日本共産党は、生活と営業の再建、市民本位の復興をもとめて、市民のみなさんと力をあわせて運動してきました。

しかし、神戸市政は、震災直後から「神戸空港は復興のシンボル」などと巨大開発をすすめる一方で、被災者への個人補償を否定し、コミュニティーを破壊して、孤独死をひきおこしてきました。このとき市の空港整備本部長だったのが、いまの矢田市長でした。

矢田氏は2001年、市長に就任。「開発から福祉へ」というスローガンとは裏腹に「行政経営方針」という「行革」計画で、市民サービスと福祉を削り、開発優先に税金を使うという「逆立ち」した市政をすすめてきました。

高齢者の敬老パスを有料化、敬老祝い金も縮小、重度障害者の福祉年金や生活保護世帯の夏冬見舞金を廃止しました。

いま借上げ公営住宅で暮らす被災者の追い出しを計画しています。被災から17年、ようやく落ち着いた暮らしができるようになった高齢者を追い出すなど、人道的にも絶対に許せません。

高い国保料が払えない人からは保険証をとりあげています。敬老パスの有料化と値上げで、無料時代と比べて1日あたり利用者は5万人も減っています。

震災前の暮らしをとりもどせず、貧困と格差に苦しむ市民にたいし、これが地方自治体のやることでしょうか。

保育所の待機児童は、2850人(11年11月1日現在)にのぼり、市内の5行政区ではゼロ歳児の受け入れができません。子どもの医療費(通院)無料は、ゼロ歳児だけ。県下で最低クラスです。

市職員を4千人以上、削減。早朝保育が保育士資格のないパート職員だけであったり、消防署員は国基準の87%で5人乗りポンプ車を4人で対応という事態も。市の非正規職員は、3千人以上にのぼり、官製ワーキングプアをつくりだしています。公立保育所は10万人もの反対署名にも背をむけて民営化をすすめました。

神戸空港は、市内で3千6百億円の所得と2万7千人の雇用の増加が見込まれると大宣伝しましたが、いまでは経済効果を「把握するのは難しい」としかいえません。土地が売れないため、借金返済のめども立たず破綻状態です。特別会計からの赤字補てん、借金返済のための借金など、ムダづかいを重ねています。

外国から金持ちをよびこもうとする医療ツーリズムなど医療産業都市にも税金を注いでいます。

企業誘致には家賃や税の減免、土地の安売りなどの大盤振る舞いの一方で、中小企業には、賃貸工場家賃補助をうちきるなど冷たい態度をとってきました。

東日本大震災の教訓にも逆行

東日本大震災と原発危機は、日本の政治のあり方をきびしく問い、命と暮らしを守ることこそ地方自治体の使命であることを痛切にしめしました。日ごろから福祉のネットワークを充実し、市民の暮らしを支える立場で市政運営をつらぬいてこそ、災害時にも市民の安心・安全を守れます。ところが、神戸市政は、阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓にも逆行し、自治体本来の役割りをいっそう投げ捨てる態度をとっています。「断固たる行財政の改革を断行する」と、新しい「行革」計画(行財政改革2015)をかかげ、さらなる職員削減や「民間活力の活用」、保育所・学校・幼稚園の再編(統廃合)をすすめようとしています。

矢田市政支える民主・自民・公明な ど「オール与党」

2009年の神戸市長選挙では、国の悪政に追随して自治体の役割を投げ捨て、「開発会社」化する一方で、市民の暮らしを切り捨てる「オール与党」市政の転換が問われました。

この市長選挙では、「神戸を変える」といいながら、橋下徹・前大阪府知事や民主党に応援をすがり、みんなの党の応援をうけて公務員攻撃をくりひろげた陣営もありました。

しかし、選挙が終われば、みんなの党も含めて民主・自民・公明など「オール与党」となって矢田市政を支え、「行財政改革の更なる推進」にまい進しています。

日本共産党は、神戸空港や「海上アクセス」、中央市民病院移転などムダづかいをきびしく批判するとともに、敬老パスの無料復活、国保料の引き下げ、子どもの医療費無料化や30人学級など、市民とともに運動してきた切実な要求を公約にかかげてたたかいました。市民要求を出発点に、市民の願いにこたえる市政転換の旗印を明らかにして市長選挙をたたかいました。

ことし4月の神戸市議選では、日本共産党の政策案「市民不在の市政と対決し、市民の暮らし、福祉、営業を守る日本共産党の前進を」を発表。冷たい市政の実態を告発するとともに、要求実現の展望をあきらかにしてきました。

選挙後も市民と力をあわせて運動してきました。中学校給食は、短期間に3万3千人を超える署名が市議会に提出され、かたくなな「愛情弁当」論を打ち破り、検討委員会の設置が決まるなど、市政を動かしています。

神戸市政ではこれまで、30万人以上の署名がよせられた神戸空港の住民投票運動をはじめとして、敬老パス、保育所民営化反対など市民運動が力づよく根づいています。国保料滞納世帯の子どもたちには保険証が交付されるようになりました。市民が声をあげ、ねばりづよく運動をすすめれば、市政を動かすことができることを示しています。

市民との共同に力つくし市政転換に全力あげる日本共産党

日本共産党は、市民との共同の運動に力をつくし、要求を一歩一歩前進させるために奮闘します。同時に、市民の願いにこたえるためにも、2年後の市長選挙にむけて、市政の転換に全力をつくします。

消費税増税、税と社会保障の「改革」、TPPなどの国の悪政から市民の暮らしを守る市政の実現、逆立ちした「オール与党」市政を転換し、命と暮らし最優先の自治体本来の姿をとりもどし、原発ゼロと自然エネルギーの推進、災害から市民を守る安心・安全の市政がもとめられています。

日本共産党は、綱領で「『住民が主人公』を貫き、住民の利益への奉仕を最優先の課題とする地方自治を確立する」ことを掲げ、こうした共同と団結をめざす運動で先頭にたって推進する役割を明記しています。

市長選挙にむけて、無党派の人たちとの共同に全力をつくすとともに、政策、組織、候補者づくりで政党としての責任をはたす決意です。「オール与党」政治の転換へ、政策的一致と共同の意思を尊重した共同のたたかいに全力をつくします。

あらためて市政の転換へひろく共同をよびかけるものです。