2010年6月10日木曜日

口蹄疫対策およびカドミウム問題について

収束に向かっているかと思われた口蹄疫が宮崎県都城市で新たに見つかったことが報道された6月10日朝、日本共産党兵庫県委員会と県会議員団は、口蹄疫対策とカドミウム問題について県知事に申し入れました。


兵庫県知事 井戸 敏三 

県内農業を守るための申し入れ
口蹄疫対策およびカドミウム問題について

2010年6月10日
日本共産党兵庫県委員会 
国政委員長 堀内 照文
県会議員団長 ねりき恵子


4月20日に確認された宮崎県における口蹄疫は、その後被害を広げ、わが国の畜産の根幹を揺るがす事態となった。
また、神河町産米から流通停止となるカドミウム量が検出され問題では、(財)兵庫県体育協会学校給食センターの問題が問われるが、同時に、過去の経緯からも、国・県・原因企業の責任による抜本的解決が求められる。
いずれも、わが県の農業を脅かす問題であり、より一層対応を強めることが必要であることから、下記の申し入れを行う。


一、口蹄疫対策を抜本的に強めること

①今回の口蹄疫感染の急速な拡大は、国の危機管理が不十分であったことを裏付け、反省が求められるが、今日の事態を踏まえ、より一層対応を強めることが必要である。
口蹄疫は法定伝染病であり、その防疫は全畜産農家・酪農家で実施されてこそ有効であることをみても、その対策は国・県の責任で行われるべきである。「他県に広がったら」などの条件をつけず、予防段階から県の負担と責任で消毒薬(炭酸ナトリウム)等の配布、指導教育、情報提供などを行うこと。とりわけ消毒薬等は、農家への迅速な配布を行えるよう、薬品を備蓄し、配布体制を整えておくこと。
なお、一部で「酢酸も有効」とのうわさが流れ、一部自治体では予算措置を行い、酢酸を確保しようとしているが、早急に真偽を確認し、県として責任ある見解を示し、対応すること。

②このたびの感染拡大は、主に接触によるものと考えられるが、県は頭数増を推進しており、その政策に沿った対策を講じる必要がある。農場の衛生的な環境確保に資する支援を行うこと。

③今回の事例を教訓に、今後の万が一の場合への備えとして以下の内容を含む対応改善を行うと共に、国に対して強く働きかけること。
家畜伝染病予防法は主に伝染病が発生した場合の対応については述べているが、予防・防疫については不備である。今回の宮崎の例は、県内への伝染が、ブランド牛を絶やしかねないことを実証しており、とりわけ但馬牛は、全国のブランド牛の大元であり、別格であることを鑑みれば、兵庫県が果たすべき役割は重大であるとの自覚をもち、
・長期化した場合の対応と費用負担
・保険制度創設を含む営農保障
・口蹄疫の全容解明および防疫、治療の研究促進
・埋設場所、焼却対策の整備
など、早急に「万が一の時の備え」を確立させると共に、国に対しても法改正を含む対策を講じるよう、強く求めること。


一、カドミウム対策で農家の負担を軽減すること

①神河町産米から流通停止となるカドミウムが検出された。市川流域におけるカドミウム検出は、原因企業が存在するものであり、さらに1960年後半から一層社会的問題となった、生野イタイイタイ病にかかわる国、県の極めて不十分な対応に起因している。
貴職は、湛水栽培の実施や検査強化などを打ち出しているが、農家はいま、深刻な事態に陥っており、何ら責任のない農家に負担を課すべきではない。
湛水栽培による負担(水管理等の負担増、農機具の確保、収穫量の減少)および必要な検査費用はすべて、国・県・原因企業で負担すること。

②70年代の誤り(客土を最小限に留めたこと、行った客土も不備だったことなど)を見直し、抜本的改良対策を講じること。風評被害防止のための正しい情報提供・広報に努めるのは当然である。


一、危機に迅速に対応できる体制を確保すること

○口蹄疫対策においても、湛水栽培についても、現場からは「人手が足りず、迅速かつ丁寧な対応ができない」との声が寄せられている。農作業の近代化、品種改良、農家の事情の変化、環境変化など知識と経験の蓄積と、新しい条件への対応が必要であり、家畜保健衛生所、農業普及・改良センターをはじめ、マンパワーを確保すること。

写真:申し入れ書を手渡す(右から)杉本ちさと・新町みちよ・ねりき恵子県議、堀内照文兵庫国政委員長、星原さちよ県議