2014年7月11日金曜日

養父市の農業特区問題について

養父市農業委員会が農地法第3条にかかわる権限を市長に移譲することに「同意」したことを受け、日本共産党但馬地区委員会と養父市議団は、広瀬栄市長の暴走を厳しく批判、引き続き農地と農業を守るために農家とともにたたかうことなどを盛り込んだ「声明」を7月2日に発表しました。

また、但馬地区委員会は、「農業特区は養父市だけの問題ではない。安倍内閣の暴走から日本農業を守り、発展させるための取り組みが必要だ」として、「養父市の農業特区問題を考える学習講演会」を7月27日(日)午後2時から八鹿公民館大会議室で開催します。

農業特区問題について(声明)

2014年7月2日
日本共産党但馬地区委員会・同養父市議会議員団

農業委員会同意について


養父市農業委員会は6月27日の臨時総会で、農地法第3条に関わる農業委員会権限を養父市に移譲することを決めました。これまでの「断固反対」からの急転換に驚きを禁じ得ません。

また、25日の総会ではなく、終了後に移譲同意が提起され、2日後に臨時総会を開催して、この極めて重要な案件を短時間で、しかも全会一致でなく多数決で決めたことは非常に残念です。

農業委員会を苦悩させ、農政を混乱させたのは、広瀬市長が農業委員会に同意を得ないまま話を進め、しかも国に対してはすでに同意を得ていると虚偽の説明をしたからです。さらに、虚偽の説明で国から指定されたにも関わらず、農業委員会に対し「(農業委員会が同意しなければ)特区取り消しや辞退も考えられる」「市民の期待を裏切ることになる」などと恫喝し、同意を迫るなど言語道断です。一連の市長の言動は重大であり、責任は厳しく問われなければなりません。

農業委員会はこれまでも農地・農業を守り振興する一定の役割を果たしてきました。

農地法は、地域におけるもっとも重要な資源である農地は、耕作者自らによる所有であることが重要だとし、その農地の管理、利用調整を農業委員会に委ねることが、耕作者の地位安定と国内農業生産の増大、食糧自給確保に資すると明記しています。

この農地法の主旨に照らせば、いかに特区といえども、公職選挙法に基づいて選出され、国の法律に則って運営されている農業委員会の権限を制限することは許されず、市はこの点を十分認識しなければなりません。

特区問題にはまだまだ課題があります


特区事業の具体化はこれからです。最大の課題である耕作放棄地解消をはじめ、養父市農業の振興に資するものにするためには、農家が十分納得できるものでなければなりませんが、現状では事業内容が具体的でなく、情報開示も農家・市民が意見を述べ、声を反映する仕組みもありません。農業委員会の意見も「聞き置くだけ」になりかねません。当事者の声が十分に反映される民主的なルールが必要です。

今回の特区が養父市農業振興に役立たなければ、撤退する勇気も必要です。

引き続き養父市農業振興のために努力します


日本共産党は、地域の守り手である農業委員会から農地調整に関わる権限を奪うことに何の道理もメリットもないことを指摘し、農業委員会権限移譲について反対であることを表明してきました。

同時に、農業委員会建議を生かし、市民の知恵と力をあつめるなど、養父市農業応援の対案を示し、農家・市民の皆さん、関係団体と、共同の取り組みを探求してきました。

日本農業を窮地に立たせてきたのは、アメリカや財界の言いなりに農政を変質させた歴代日本政府です。安倍内閣は、公約違反のTPP参加、農地を我が物にしようと狙う財界・大企業の要求に沿って、我が国の農業を破壊しようとしています。

私たちは引き続き、安倍内閣の暴走を止め、農地・農業を守るために闘うと共に、養父市に根ざした農業振興を実現するために、知恵と力を尽くします。

以上

2014年1月15日水曜日

阪神・淡路大震災19年にあたって

2014年1月17日 日本共産党兵庫県委員会

阪神・淡路大震災被災十九年にあたり、あらためて犠牲者とご遺族の皆様に哀悼の意を表すると共に、被災したすべての皆様にお見舞いを申し上げます。

被災から十九年が経過しましたが、いまもなお住宅や生業再建の借金返済に苦闘されている方が少なくありません。災害援護資金返済は、「少額返済」を勝ち取りましたが、一万人余が総額百三十五億円の返済を続けざるをえない状況です。被災者生活再建支援法の遡及や災害援護資金の特例措置(東日本大震災では、保証人の必要がなく、支払期日から十年後、無資力状態等の場合は償還免除)等がなく、「創造的復興」の名で巨大開発を優先した政治の歪みが、被災者を苦しめています。

しかも「借り上げ復興公営住宅からの追い出し」という被災者の生存権を脅かす重大な問題が起こりました。日本共産党は、入居者や地域住民と力をあわせて「追い出しをやめよ」とたたかっています。世論と運動が広がり、昨年十一月に県知事は、日本共産党県議団の予算要望にたいし「借り上げは杓子定規にやらない」とのべ、西宮市の都市局長も昨年九月、党市議の質問に「個別事情がある場合は無理に転居して頂くことはできない」と答弁しました。宝塚市や伊丹市は積極的に希望者全員の継続入居を認めています。私たちは引き続き、安心して住み続けられるよう、力をあわせ最後までたたかいぬく決意です。

また、「住宅・生業再建のための融資や災害援護資金の返済減免や返済延長」「災害公営住宅入居者見守りや家賃低減など必要な生活支援」「住民本位のまちづくり」などを実現するために力を尽くします。

昨年四月の淡路大地震や豪雨災害など、県内で支援法が適用されない災害が相次ぎましたが、兵庫県は共済制度に固執し、自治体も十分な支援をおこなっていません。

私たちはあらためて、県・自治体にたいし「その支援内容で生活再建ができるのか」と迫り、二〇〇四年実施の水準(県独自に全壊百万円、大規模半壊七十五万円、半壊五十万円、床上浸水二十五万円など)以上の県独自支援策を求めます。また、「法適用戸数の柔軟化」「家屋の被害判定基準の見直し」「半壊、一部損壊への支援金の支給」「限度額の五百万円引き上げ」「生業再建への公的支援実現」などを国に強く要求します。

防災に関わる、新たな課題もでてきました。県民・専門家の知恵と経験を集め、自然災害から命とくらし、財産、地域、生業を守り、被災からのすみやかな復興を実現する総合対策が必要です。安倍自公政権の「国土強靭化」は、「防災」の名目で大型公共事業の復活をはかるものであり、国民の命と暮らしを守る真の防災・減災対策こそ必要です。

日本共産党は、津波、高潮、洪水など水害への抜本対策、公共施設の耐震化を一刻も早く完遂させ、住宅耐震化を進捗させるため奮闘します。県立こども病院のポートアイランド二期埋立地への移転は中止・撤回するよう求めます。県職員の削減で橋や道路など維持・管理にも支障をきたしています。「防災」「老朽化対策」などに重点をおいた必要な公共事業をすすめるうえでも、高規格道路など無駄な開発の削減・見直しが急務です。震災の教訓に逆行する県の暴挙を許さないたたかいをすすめます。

原発がいったん事故を起こせば、取り返しのつかない深刻な事態になることは明らかです。即時原発ゼロ・自然エネルギー活用へ、エネルギー政策を転換させるため全力を尽くします。東日本大震災の被災者支援バザーと福島県へのボランティア派遣を今年も続けます。被災者にいっそうの負担を強いる消費税増税を中止させ、消費税増税にたよらない別の道を示した「経済提言」など建設的対案を示し、県民的な対話と共同に奮闘します。

日本共産党兵庫県委員会は、阪神・淡路大震災十九年にあたり、〝国民の苦難軽減〟という立党の精神に立って、生活再建と真の復興へひきつづき全力をつくす決意を表明します。



(2014年1月19日付「兵庫民報」掲載)