2011年11月22日火曜日

矢田神戸市政10年に対するアピール

命と暮らし守る自治体本来の役割りをはたす神戸市政へ、転換を
矢田市政10年、2013年市長選へ折り返し点にたって

2011年11月22日 日本共産党兵庫県委員会

神戸市は、矢田立郎市長が市政を担当して11月で10年となりました。また、2013年の市長選挙にむけた折り返し点になりました。

日本共産党は、子どもの医療費無料化や中学校給食の実現、国保料の引き下げなど、2009年の市長選挙、ことし4月のいっせい地方選挙でかかげた市民要求の実現へ、力をあわせて運動してきました。

ひきつづき市民要求の実現と福祉・防災のまちづくりに全力をつくすとともに、2013年秋の市長選挙で市政を転換し、国の悪政から命と暮らしを守るという自治体本来の役割りをはたす市政の実現へ、あらためて決意を表明するものです。

「開発から福祉へ」とは裏腹に

1995年の阪神・淡路大震災以来、日本共産党は、生活と営業の再建、市民本位の復興をもとめて、市民のみなさんと力をあわせて運動してきました。

しかし、神戸市政は、震災直後から「神戸空港は復興のシンボル」などと巨大開発をすすめる一方で、被災者への個人補償を否定し、コミュニティーを破壊して、孤独死をひきおこしてきました。このとき市の空港整備本部長だったのが、いまの矢田市長でした。

矢田氏は2001年、市長に就任。「開発から福祉へ」というスローガンとは裏腹に「行政経営方針」という「行革」計画で、市民サービスと福祉を削り、開発優先に税金を使うという「逆立ち」した市政をすすめてきました。

高齢者の敬老パスを有料化、敬老祝い金も縮小、重度障害者の福祉年金や生活保護世帯の夏冬見舞金を廃止しました。

いま借上げ公営住宅で暮らす被災者の追い出しを計画しています。被災から17年、ようやく落ち着いた暮らしができるようになった高齢者を追い出すなど、人道的にも絶対に許せません。

高い国保料が払えない人からは保険証をとりあげています。敬老パスの有料化と値上げで、無料時代と比べて1日あたり利用者は5万人も減っています。

震災前の暮らしをとりもどせず、貧困と格差に苦しむ市民にたいし、これが地方自治体のやることでしょうか。

保育所の待機児童は、2850人(11年11月1日現在)にのぼり、市内の5行政区ではゼロ歳児の受け入れができません。子どもの医療費(通院)無料は、ゼロ歳児だけ。県下で最低クラスです。

市職員を4千人以上、削減。早朝保育が保育士資格のないパート職員だけであったり、消防署員は国基準の87%で5人乗りポンプ車を4人で対応という事態も。市の非正規職員は、3千人以上にのぼり、官製ワーキングプアをつくりだしています。公立保育所は10万人もの反対署名にも背をむけて民営化をすすめました。

神戸空港は、市内で3千6百億円の所得と2万7千人の雇用の増加が見込まれると大宣伝しましたが、いまでは経済効果を「把握するのは難しい」としかいえません。土地が売れないため、借金返済のめども立たず破綻状態です。特別会計からの赤字補てん、借金返済のための借金など、ムダづかいを重ねています。

外国から金持ちをよびこもうとする医療ツーリズムなど医療産業都市にも税金を注いでいます。

企業誘致には家賃や税の減免、土地の安売りなどの大盤振る舞いの一方で、中小企業には、賃貸工場家賃補助をうちきるなど冷たい態度をとってきました。

東日本大震災の教訓にも逆行

東日本大震災と原発危機は、日本の政治のあり方をきびしく問い、命と暮らしを守ることこそ地方自治体の使命であることを痛切にしめしました。日ごろから福祉のネットワークを充実し、市民の暮らしを支える立場で市政運営をつらぬいてこそ、災害時にも市民の安心・安全を守れます。ところが、神戸市政は、阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓にも逆行し、自治体本来の役割りをいっそう投げ捨てる態度をとっています。「断固たる行財政の改革を断行する」と、新しい「行革」計画(行財政改革2015)をかかげ、さらなる職員削減や「民間活力の活用」、保育所・学校・幼稚園の再編(統廃合)をすすめようとしています。

矢田市政支える民主・自民・公明な ど「オール与党」

2009年の神戸市長選挙では、国の悪政に追随して自治体の役割を投げ捨て、「開発会社」化する一方で、市民の暮らしを切り捨てる「オール与党」市政の転換が問われました。

この市長選挙では、「神戸を変える」といいながら、橋下徹・前大阪府知事や民主党に応援をすがり、みんなの党の応援をうけて公務員攻撃をくりひろげた陣営もありました。

しかし、選挙が終われば、みんなの党も含めて民主・自民・公明など「オール与党」となって矢田市政を支え、「行財政改革の更なる推進」にまい進しています。

日本共産党は、神戸空港や「海上アクセス」、中央市民病院移転などムダづかいをきびしく批判するとともに、敬老パスの無料復活、国保料の引き下げ、子どもの医療費無料化や30人学級など、市民とともに運動してきた切実な要求を公約にかかげてたたかいました。市民要求を出発点に、市民の願いにこたえる市政転換の旗印を明らかにして市長選挙をたたかいました。

ことし4月の神戸市議選では、日本共産党の政策案「市民不在の市政と対決し、市民の暮らし、福祉、営業を守る日本共産党の前進を」を発表。冷たい市政の実態を告発するとともに、要求実現の展望をあきらかにしてきました。

選挙後も市民と力をあわせて運動してきました。中学校給食は、短期間に3万3千人を超える署名が市議会に提出され、かたくなな「愛情弁当」論を打ち破り、検討委員会の設置が決まるなど、市政を動かしています。

神戸市政ではこれまで、30万人以上の署名がよせられた神戸空港の住民投票運動をはじめとして、敬老パス、保育所民営化反対など市民運動が力づよく根づいています。国保料滞納世帯の子どもたちには保険証が交付されるようになりました。市民が声をあげ、ねばりづよく運動をすすめれば、市政を動かすことができることを示しています。

市民との共同に力つくし市政転換に全力あげる日本共産党

日本共産党は、市民との共同の運動に力をつくし、要求を一歩一歩前進させるために奮闘します。同時に、市民の願いにこたえるためにも、2年後の市長選挙にむけて、市政の転換に全力をつくします。

消費税増税、税と社会保障の「改革」、TPPなどの国の悪政から市民の暮らしを守る市政の実現、逆立ちした「オール与党」市政を転換し、命と暮らし最優先の自治体本来の姿をとりもどし、原発ゼロと自然エネルギーの推進、災害から市民を守る安心・安全の市政がもとめられています。

日本共産党は、綱領で「『住民が主人公』を貫き、住民の利益への奉仕を最優先の課題とする地方自治を確立する」ことを掲げ、こうした共同と団結をめざす運動で先頭にたって推進する役割を明記しています。

市長選挙にむけて、無党派の人たちとの共同に全力をつくすとともに、政策、組織、候補者づくりで政党としての責任をはたす決意です。「オール与党」政治の転換へ、政策的一致と共同の意思を尊重した共同のたたかいに全力をつくします。

あらためて市政の転換へひろく共同をよびかけるものです。


2011年2月14日月曜日

2011年神戸市議会議員選挙にのぞむ日本共産党の政策(案)


市民不在の市政と対決し、市民のくらし、福祉、営業を守る日本共産党の前進を
神戸市議会議員選挙にのぞむ日本共産党の政策(案)

                                                        20101116
                                                       日本共産党兵庫県委員会
                                                      日本共産党神戸市会議員団

1 市民の声が届く議会にするチャンス

 20114月に神戸市議会議員選挙がおこなわれます。
 「暮らしを少しでもよくしたい」「政治を変えたい」という国民、市民の思いは、2009年総選挙以来、今も続いています。日本共産党は、こうした市民の願いを実現するために全力でとりくんでいく決意です。
 長引く不況、雇用不安は続き、民主党政権になっても、市民の生活はよくなりません。自民党・公明党政権がすすめた社会保障切り捨ての路線から脱却する方向を、民主党政権も示していません。それどころか、後期高齢者医療制度の廃止は見送り、障害者自立支援法の抜本改正もすすめようとしていません。「地域主権」といいながら、事実上、地方自治体への財源保障を減額させることなどをねらっています。また、保育に対する公的責任を放棄する「改革」を打ち出すなど、自民党・公明党政権よりも危険な政策を推進しようとしています。このことが、政権交代後も、国民、市民の暮らしは苦しいまま、という状況が続く原因です。
地方自治体の一番の役割は「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことです。
 市民が苦しんでいる時、本来なら、神戸市が、市民生活が少しでも良くなるよう、あたたかい施策を講じるべきですが、逆に、福祉や市民サービスを減らすなど、国の悪政に追随しています。「市民の暮らしや福祉を守る」という地方自治体の基本的な役割を果たしていないのが、今の神戸市です。
 2009年の市長選挙では、民主党が単独で矢田氏を推薦するという形になりましたが、選挙後も、自民党、公明党を含めて「オール与党」という状況は変わっていません。市長が提案する議案すべてに賛成し、ムダな開発を推進し、福祉の削減を進め、ムダづかいによる財政難のツケを市民に押しつけているのです。
 来年の市議選は、市民の暮らしと福祉、地域経済をどう立て直すのか、「住民の福祉を守る機関」としての自治体本来の役割をどうとりもどすのか、が問われます。「市長提案に何でも賛成」の議会から、市民の声を届け、市民要求実現を前進させ、市当局を適切にチェックする議会に変えるきっかけとなる選挙です。

2 市民の暮らしを守る神戸市政に
   
広がる貧困と格差
   
 市民の暮らしは一向に良くなりません。逆に貧困と格差が広がっています。生活保護受給者は、2000年度の19060世帯28108人から2009年度には28,812世帯42,874人へと急増しています。就学援助を受ける児童・生徒も増えています。
 市内の事業所は、94年の83,872から06年には71,469へ、13,655も減少しています。特に、従業員が4人以下の小さな事業所は11,918も減っているのです(「事業所統計」から)。市民全体の給与収入(雇用者報酬)も、97年の34,554億円から07年には3771億円に、3,783億円も減っています(「市民経済計算」から)。
 高すぎる保険料が問題になっている国民健康保険。保険料を滞納している世帯は48,895世帯(10331日現在)。加入世帯の2割に達します。保険証が交付されず「資格証」の世帯が4,197世帯(同)。このほか、区役所の窓口に「留め置き」されたままの保険証もあります。病気になっても病院に行けない市民が増え続けています。お弁当を持っていくことも、買うこともできない中学生も増えています。貧困と格差の是正は、待ったなしの課題です。

福祉削減やめ充実を

 市民の生活や営業が苦しい時、そこに支援の手を差し伸べるのが自治体としての神戸市がすべき仕事です。ところが、神戸市は、全く逆のことをしています。
 市民税や国民健康保険料を滞納した人には、容赦なしの「取り立て」です。「サラ金よりもひどい」(一方的に給料を差し押さえられた女性)という声が上がるのも当然です。盛岡市では、市税を滞納した理由をきちんと聞き、市の全部局をあげて支援策を検討、生活が軌道に乗るまで税の取り立てをしない、という対策を講じています。神戸市は正反対です。神戸市のようなやり方は、市民生活を一層苦しくすることになり、長期的にみれば、市税収入も減少します。
 神戸市が削った福祉は、敬老祝い金の大幅縮小、障害者福祉年金の廃止、敬老パス有料化・値上げ、社会福祉法人の上下水道料減免制度の縮小、就学援助の縮小、生活保護世帯への夏期冬期見舞金廃止など、多方面にわたっています。公共料金も、保育料の値上げや学童保育、粗大ごみの有料化、手数料・使用料も墓地使用料も含め、軒並み引き上げられました。まさに「ゆりかごから墓場まで」の値上げが進められました。
200810月に有料化した敬老パスもその一つ。バスを利用するたびに50円、地下鉄・新交通は子ども料金の半額としました。2010年の10月からは負担を倍増させました。高齢者から「5000円をチャージしてもすぐになくなる」「ボランティアや行事に参加する回数が減った」「通院は減らせない、食事を減らすしかない」など、深刻な声が多く寄せられています。
 国民健康保険料も、一人当たり保険料が、05年度の75,000円から10年度には87,000円へと12,000円もアップしています。国民健康保険への一般会計からの繰り入れ額(2008年度、1人当り)は、全国19政令市中16位(「08国保事業年報」より)。宝塚市や西宮市、芦屋市の半分しかありません。
 子どもの医療費無料は、通院はゼロ歳児だけで、市議団の「子育てアンケート」にも「西宮市から神戸に越してきて、行政サービスの悪さにびっくり」「東京から越してきました。どうして、子どもの医療費は無料じゃないのか」などの意見が数多く寄せられています。
 神戸市は、市民サービスを削るとともに、市職員も減らし続けています。神戸市による職員削減は、市民の福祉や安全に悪影響を及ぼすものにほかなりません。正規の保育士を減らし続けたため、公立保育所では、早朝保育が保育士資格のないパート職員だけ、という事態もあります。消防署員も、国の基準の87%にとどまっています。
 削った福祉を元に戻し、さらに拡充する方向を示す議会、市政に変える必要があります。

市政をチェック、ムダづかいにメス

 神戸市は、福祉はどんどん削る一方、神戸空港などムダづかいはそのまますすめています。神戸空港は、利用者は増えず、路線も減少、日本航空も全面撤退しました。経営は赤字です。神戸空港建設による借金は1,982億円。09年度から返済が始まりましたが、返すお金がないため、新たに借金をしたり、新都市整備事業会計の資金を流用して穴埋めしています。新都市整備事業会計の資金は、本来、市民の生活を守るために使うべきお金です。新たな借金による金利負担増をはじめ、神戸空港はすでに市民生活に重くのしかかっているのです。
 神戸空港と関西空港を結ぶ海上アクセスは、167億円の累積赤字を抱えています(09年度末)。神戸市と外郭団体からの貸付金も132億円に上っています。市の直接支援6億円(07年度~09年度)、市所有の駐車場の経営委託による間接的支援など、大きな持ち出しになっています。
神戸市医師会も見直しを求めている医療産業都市構想には、すでに国費も含めて1400億円が投入されました。中央市民病院も、まだ十分使えるにもかかわらず、ポートアイランド二期に移転、新築工事を進めています。その費用は1000億円です。一般病床を減らす一方で、有料個室を増やしています。このままでは、市民が利用しにくい病院になってしまいます。
 アジアの金持ちの患者を呼び込む「メディカル・ツーリズム」も進めようとしています。神戸市は、この地域を「神戸国際先端医療特区」にと、政府に申請しています。医師会が懸念している、保険外診療に道を開くものです。市民のための医療がないがしろにされかねない医療産業都市構想に多額の税金をつぎこむのではなく、市民が安心して医療を受けることができる対策をとるべきです。
 戦略港湾などといい、神戸港に新たに深いバースをつくっています。湾岸道路の延伸、神戸空港と関空を結ぶ海底トンネル構想、国道二号線の地下化という構想まで浮上しています。これではいくらお金があっても足りません。
  市民には、「お金がない」と敬老パスを有料化して、さらに値上げする一方で、神戸空港の着陸料は減免しています。ムダづかいをすすめ、市民には冷たい市政にメスを入れる議会が求められています。

市民の声に耳を傾ける市政・議会に

 市民の声に耳を傾けないのも、神戸市の特徴です。市民の声に耳を貸すことなく空港を建設し、市財政を大きく圧迫しています。
 保育所民営化も、保護者らが「公立のまま残してほしい」と声をあげ、議会にも繰り返し、請願、陳情しましたが、強行しました。敬老パスの有料化も、多くの市民が議会の傍聴席を埋める中、強行しました。友生養護学校移転問題も保護者の意見を聞くかのようなポーズを取りながら、事実上、当局計画のまま進めようとしています。市民が反対しようとも「一度決めたことはやる」という神戸市の姿勢を応援しているのが、民主、自民、公明など与党議員です。しかし、市政の主人公は市民です。市民の声を市政に反映させる議会に変えることは、喫緊の課題です。
 20114月の市議選では、市民の視点で市政をチェックし、市民や中小業者の暮らし、営業を守るために全力をあげる議員を選ぶのか、市民に冷たい市政を応援する議員を選ぶのかが問われます。日本共産党議員団の10人の議員は、市民の暮らしや営業を守るために、全力で頑張っています。日本共産党の議席こそ、市民要求を一歩一歩実現し、市政を前に進める大きな保障になると確信しています。

3 日本共産党議員団の役割と実績
 
市民の声を聞き、一緒に運動

 議員に最も求められる活動の一つは、市民の声を聞き、市政に届けることです。神戸市内には、たくさんの運動があります。神戸空港の在り方を問い続ける運動、国民健康保険料を引き下げる運動、敬老パスの無料復活を求める運動、保育所制度改悪中止を求める運動、地域の環境を守るとりくみなどです。日本共産党議員団は、これらの要求を実現するため、市民とともに運動しています。
 三菱重工神戸造船所が、突然、商船部門の撤退を発表、下請け・関連企業や地域住民に衝撃を与えています。大企業に社会的責任を求め、身勝手な撤退、工場の移転は行わないよう、強く求めることも欠かせません。日本共産党議員団は、バンドー化学が工場移転を発表した時、労働者とともに運動しました。三菱神船でも、市民とともに撤退中止を求めて運動しています。
 市民アンケートにも積極的にとりくんでいます。この3年間で、敬老パスで2回、中央市民病院問題では市民向けと開業医対象に実施。103月には子育てアンケートに、同11月には市政アンケートにりくみました。これらのアンケートには、合計3万人もの市民から回答が寄せられました。寄せられた市民の声を議会で紹介。市民の声を反映した市政運営を求めています。市民の声を聞き、切実な願い実現へ、市民と一緒に汗を流して活動しているのが、日本共産党議員団です。
 07年6月議会から106月議会までの間に出されたおもな請願・陳情は、保育所問題31件、敬老パス269件、神戸空港問題43件、国保問題26件などとなっています。これらについて、日本共産党議員団はすべて採択を求め、奮闘しています。
 貧困が広がるもとで、「困ったときは共産党」と市民から寄せられる生活相談は、年間2000件にのぼります。民主団体や弁護士とも連携して解決に力をつくしています。

ムダづかい是正へ徹底追及

 日本共産党議員団は、市民の暮らしを守るためにも、ムダづかいをやめるよう一貫して要求してきました。神戸空港、海上アクセス、複合産業団地の造成事業、中央市民病院の移転・新築、ポートライナーの延伸・複線化、神戸港の過大なバース建設、新長田南の再開発、震災復興公園計画、国営明石公園建設などが、市財政を苦しくしている原因であることを一つひとつ明らかにして、その是正を求めてきました。毎年、市予算の組み替えを提案し、新たな借金は抑制しながら市民の福祉を充実できることを示してきました。
 自民、民主議員の海外視察(08年度2回)では、「1000万円もの公費をつかっておこなうべきでない」「限られた財源は、市民の暮らしを守る施策に使うべき」と厳しく追及しました。その後、議員の海外視察は「中断」しています。 

敬老パスの負担軽減などくらし守り

 敬老パスでは、有料化が提案されて以後、その中止と無料継続を求める運動にとりくみ、109月までの2年間は、負担を半額に抑えることができました。市民と一緒に運動して、10万筆の無料継続を求める署名と議会内の論戦が、市議会や市政を動かす力になりました。
 ヒブワクチンの予防接種への助成も、10年7月から実現しています。国民健康保険料の滞納を理由に、「資格証」となっている世帯にも、保険証の交付を要求。資格証世帯の子どもには保険証の交付が実現しました。日本共産党国会議員団のとりくみと連動した結果です。また、国保証が区役所窓口に「留め置き」されている世帯にも子どもがいることを追及して、是正させました。日本共産党議員団は、保険証は全加入者に交付し、医療を受ける権利を保障するよう、一貫して求めています。国保料の引き下げに必要な財源も示し、1人あたり1万円の引き下げも提案しています。

少人数学級の促進など教育環境を改善

 保護者や教職員が強く求め続けている少人数学級。日本共産党議員団は、少人数学級の必要性を繰り返し主張。県議団とも連携してとりくんだ結果、小学校4年生まで拡大しています。
 特別支援教育では、障害児数に見合う特別支援学校の整備計画の策定を提起。友生養護学校の移転問題では、保護者の意見を聞き、現地で建て替え、障がい児の教育を受ける権利を保障すべきと提案。希望者は現在の校舎を利用して引き続き通学できることになりました。友生養護学校は、独自の特別支援学校として建設するよう求めています。

市政を動かす政策提言

 日本共産党議員団は、暮らしを守るための政策も提案し続けています。青年の雇用を増やすために「高校生就職情報提供事業」や「高校生就労支援金」制度の創設、ネットカフェ実態調査なども提起しています。建設業者などの仕事を増やすために、小規模事業所登録制度、環境対策も組み合わせた住宅リフォーム助成制度などを提案。制度融資の利子補給制度、継続雇用奨励交付金制度、中小企業振興のための悉皆調査など、中小企業支援策の拡充を一貫して求めています。
 こうした提案の中で、商店街・小売り市場による地域力アップ事業など、神戸市の施策として取り入れられているものもあります。小規模事業所登録制度も、不十分とはいえ、各土木事務所などでとりくまれています。無担保無保証人制度も1250万円まで拡大しています。

4 市議会他党派は何をしてきたか

民主、自民、公明は、空港などすべて賛成

 神戸市議会には現在、68人の議員がいます(定数69、欠員1)。日本共産党10人、民主党18人、公明党12人、自由民主党12人、自民党神戸・たちあがれ日本10人、新社会党2人、住民投票☆市民力2人、みんなの党2人となっています(2010年7月2日現在)。民主、公明、自民の4会派は、市長の提案にすべて賛成する「オール与党」です。09年度の市決算議案には、4会派とともに、みんなの党も「行政経営方針に沿った行財政改善に取り組んだ決算だ」と賛成しています。市政に対するチェック機能を果たしているのか、責任を問われるものとなっています。

市民の切実な請願・陳情に背

 20076月議会以来、20106月議会までに提出された請願は110件、陳情は464件。その内、敬老パスの「無料継続」「値上げ反対・無料復活」を求めるものや、国民健康保険料引き下げを求めるもの、保育所民営化反対、神戸空港関連など、切実な市民の要求を反映した請願・陳情は362件もあります。しかし、民主、自民、公明などは、こうした請願・陳情には、1件も賛成の態度をとっていません。保育所問題では、「住民投票☆市民力」議員団(現在の「みんなの党」も含む)も、「民営化は必要」との態度をとっています。

5 日本共産党の重点政策

ムダづかいのツケを市民に押しつけることは許されません。全会計を合わせた神戸市の財政規模は、約2兆円です。日本共産党議員団は毎年、予算の組み替えを提案し、自治体のお金のつかい方はどうあるべきかを具体的に提起しています。市民のくらしと営業を守るため、神戸市が実施すべき重点施策を提案します。

①くらし、福祉を最優先に

★国民健康保険料が高すぎて払えない世帯が増えています。保険証が交付されず、病院にかかるのが遅れ、命を落とすという事例が、神戸市でも起きています。保険料を滞納している世帯には、「督促状」「差し押さえ」という強硬手段ではなく、生活再建まで援助する体制を整えます。保険証の取り上げは中止します。一般会計からの繰り入れを増やして、保険料の引き下げ・減免の拡充、窓口負担の軽減をはかります。
★新中央市民病院は、市民の入院が妨げられることのないよう、一般病床を増やし、有料個室を減らします。同時に、差額ベッド料なしの利用にも柔軟に対応します。
★医療産業都市構想は、保険外診療に道を開くものであり、医師会からも批判、不安の声が強く出されています。神戸市にとっても多額の財政負担が生じることから、事業は中止します。その上で、情報を公開し、広く医療関係者、市民の意見を聞きます。
★介護保険料(基準額)も、制度開始時の2000年の3137円から、現在は4640円へと1503円も上がっています。特別養護老人ホームの入所待機者は6365人(201010月現在)にのぼり、なお増え続けています。一般会計からの繰り入れを増やすなどして、介護保険料や利用料を抑えます。小規模なものも含めて特別養護老人ホームを増やします。
★敬老パスは、無料に戻します。
★障害者自立支援法は一日も早く廃止し、「応益負担」のない、障害者が安心して生活できる法律の成立へ全力をあげるとともに、それまでの間、市として、利用者の負担軽減策を拡充します。
★不安定雇用の広がり、派遣切りなどで、生活保護を必要とする人も増加しています。必要な人が安心して受給できるようにします。申請書を窓口に設置するとともに、住宅がなくても支給できるよう、改善します。上下水道の減免制度を復活します。高齢者や低所得者に空調費を助成する制度を創設します。
★多重債務や就労支援、住まい情報の提供など、市民の願いにワンストップで対応できる窓口を区役所に設置します。
★納税相談窓口を区役所に戻し、納税者の権利を尊重して丁寧に対応します。
★市民のプライバシーに関わる戸籍入力や税金徴収業務などの民間委託は中止します。
★パート、アルバイト中心の市役所・区役所の窓口業務を改め、福祉、健康、教育部門や保育所などの正規職員を増やします。保健所を各区に設置します。
★空港島の土地売却や開発部門に携わる職員を減らし、福祉など市民生活に直結した職員を増員します。
★不正経理処理など不正について、原因・背景を徹底究明し、再発を防止します。

②子育て支援と教育・文化環境の充実を

保育所の待機児童は、2010111日現在で、2,697(第一希望)もいます。市議団の「子育てアンケート」でも、保育所増設を求める声や、就職先が決まっていないと、実質的に、保育所に申し込めないというやり方の改善を求める声も強くよせられています。
★政府が進めようとしている、保育基準の引き下げなど保育制度の改悪を許さないため、市民と運動します。
★子どもの健やかな成長を保障し、すべての子どもが基礎学力を身につけられるようにするための施策を強化します。憲法とこどもの権利条約をいかした施策の推進に力をつくします。
★小中学校全学年での30人学級導入をめざします。
★東灘区や西区などで、過大規模となっている学校を解消するため、学校の新設など、必要な対策を進めます。
★学校現場の声を聞き、加配教員を増員します。
★子どもの医療費を中学校卒業まで無料にします。
★全国の80%で実施されている中学校給食を実施します。
★就学援助の所得基準を引き上げ、支給内容も改善します。保護者からの教育委員会への直接申請制度を残します。
★学童保育を拡充します。地域方式の学童保育への助成を増やします。
★これ以上の保育所民営化はやめ、公立保育所は公立で建て替えます。併せて社会福祉法人による保育所増設も進め、待機児童の早期解消をめざします。社会福祉法人で働く人たちへの処遇改善などの施策を拡充します。
★児童虐待防止策を拡充します。
★文化団体への支援を強化します。
★気軽に利用できる演劇や音楽の練習場を各区に整備します。
★地域のスポーツ団体への支援策を強化します。

③中小企業・地場産業の振興で雇用の拡大を

 神戸経済を支えている中小企業は、全事業所数の99%、就業者の約71%を占めています。ところが、神戸市の産業政策は、神戸空港、医療産業都市構想、外部からの企業誘致に偏重しています。神戸市の経済を活性化させるには、不安定雇用をなくし、市内の中小業者の仕事を増やすこと、商店街や市場、地場産業の活性化策など、地域の需要を増やす対策を中心に据えるべきです。
 神戸市は、工事だけでなく、購入も、市内の中小業者にたくさん発注すべきです。その際、発注額は、受注企業で働く人が生活を維持するに見合う額が保障されるよう設定することです。そうすることで、中小企業の営業も従業員の生活も守られ、市税収入増にもつながります。
★官公需の発注を中小企業優先で進めます。
★融資制度を改善し、中小企業・市場・商店街への予算を抜本的に増やし、支援を強めます。
★中小企業振興条例を制定します。官製ワーキングプアをなくすためにも公契約条例を制定します。
★市営住宅、学校、福祉施設の建設や改修など、生活基盤型の公共事業など中小業者の仕事を増やし、雇用も増やします。
★市内業者を対象とした、住宅リフォーム助成制度や小規模事業者登録制度を導入します。
★大企業に社会的責任を果たすことを求め、リストラを規制します。
★三菱神船の商船部門の撤退の中止を求めます。
★高校生就職支援事業を創設します。
★市の教育・福祉職員の新規採用の拡大などで、青年の雇用を拡大します。
★地域経済と結びつけた神戸港の総合的な発展策を港湾労働者と市民参加で検討します。
★農水産物の地産地消のとりくみを支援します。
★政府の小規模農家切り捨て策に反対し、神戸の農家のくらしを守ります。
★神戸ブランドの育成など、農業・漁業の振興をはかります。
★町なみや景観、資源を生かした観光施策の充実、市民や地元業者の知恵と力をあわせた観光振興をはかります。

④被災者の生活支援、防災対策の拡充

 大震災から17年目に入り、災害公営住宅の入居者の高齢化、コミュニティの弱体化がすすんでいます。中小業者の多くが、被災の後遺症と長引く消費不況によって、厳しい経営状況が続いています。
★災害援護資金は、返済免除と生活実態にあわせた返済を国に求めます。
★生活再建500万円、住宅(店舗・工場含む)再建500万円を実現するために、生活再建支援法改正へ全力をつくします。
★借り上げ期間満了の借上災害公営住宅について、入居者に退去を求めるのではなく、入居者のコミュニティを重視し、継続して借り上げ住宅として運営します。
★新長田駅南の再開発事業は、未着手地域を再開発事業からはずすことをふくめ、住民参加で計画を見直します。
★災害公営住宅での見守り態勢を抜本的に強化し、コミュニティづくりを支援します。
★震災障害者の実態調査と支援にとりくみます。
★今後の自然災害に備え、公共施設の耐震化促進、豪雨対策や津波・高潮対策などにとりくみます。

⑤環境を守り、住民本位のまちづくり

★地球温暖化対策として、市内主要企業との協定締結をすすめます。
★ゴミの分別収集を改善し、収集回数を増やします。
★ゴミ収集の有料化に反対します。
★神戸製鋼所の石炭火力発電所については、中止も含めて検討します。
★アスベストによる被害の健康調査と救済に幅広くとりくみます。石綿含有砕石の混入実態調査と対策をすすめます。
★地域に密着した便利な市バス路線を増やし、コミュニティバス導入やパークアンドライドを拡充します。総合交通課を創設し、地域のまちづくりと一体となった交通体系を検討します。
★市営住宅を増やします。市住家賃の減免制度を元に戻し、拡充します。
★若年世帯への家賃補助制度を復活させます。
★無秩序なマンション建設に歯止めをかけます。
★大型店の出店、撤退に対する規制を強めます。

⑥ムダな大型開発をストップ

★神戸空港会計に市民の税金をつぎ込むことを許さず、空港中止を含めて、今後のあり方について市民の意見を聞きます。
★海上アクセスの運行は中止します。
★建設費が5,000億円ともいわれている湾岸道路の延伸(西伸)は中止します。
★医療産業都市構想は、中止し、広く医療関係者や市民の意見を聞きます。
★本州四国連絡橋への出資は中止します。
★中央市民病院のPFI事業を見直します。一般病床を増やし、有料個室を減らします。

⑦憲法を守り、非核「神戸方式」堅持

★非核「神戸方式」を日本各地に、世界に発信します。
★非核「神戸方式」を堅持し、記念碑を神戸港に建立します。
★憲法改悪には断固反対します。
★国民保護計画によって市民の自由・権利が抑制されないようにします。
★平和行政を担当する窓口を設置し、総合的な平和施策をすすめます。
★平和記念館を建設し、市民と来訪者に、非核「神戸方式」を広く知らせます。

⑧議会改革
★議員一人あたり100万円の海外視察は中止します。
★費用弁償は廃止します。
★市議会の議会運営委員会など、会議のすべてを公開します。
★休日の議会開会など、議会改革について引き続き提案します。

⑨暮らしを守る財源はあります

 神戸市は、市民が要求実現を求めると、必ず「財政が厳しいからできない」と言います。2兆5000億円もの借金を抱えているのは事実です。しかし、神戸空港、新長田駅南再開発事業をはじめ、ムダづかいを進めた結果です。ツケを市民に押しつけることは絶対に許されることではありません。神戸市の総予算規模は約2兆円です。予算の使い方を暮らし優先に改めれば、市民の切実な要求実現へ必要な経費は出てきます。
 日本共産党市会議員団は毎年、予算の組み替えを提案しています。新たな借金は抑制しながら、市民のくらし・福祉を充実する具体策を明らかにしてきました。2010年度予算でみれば、不要・不急施策の中止などで、くらし・福祉の充実に使える財源が約160億円でてきます。また、新都市整備事業会計の資金を、計画的に一般会計に繰り入れたり、基金として運用することによっても、市民生活を守るための財源は生まれます。
あらゆる施策をチェックし、ムダなもの、急がなくてもいいものを精査することで、市民の生活を守る財源は捻出できます。もともと、税収など神戸市の収入が減った場合には、地方交付税で財源は補てんされます。肝心なのは、市政が「住民福祉の機関」としての役割りをはたすという立場でとりくむことだと考えます。日本共産党は、市民の福祉・暮らし・営業を守るため、全力で頑張る決意です。


2011年県会議員選挙にあたっての日本共産党の訴えと重点政策(案)


2010117日 日本共産党兵庫県委員会・日本共産党兵庫県会議員団

くらし・福祉守り、景気回復へ

―県会議員選挙での日本共産党の躍進を訴えます


1. 県民の願い実現にとって大事な選挙です


「少ない年金で国民健康保険料がなんと高いことか」「好きでアルバイト・派遣をしているんじゃない。若者は正社員を望んでいる」「子どもと高齢者すべてにやさしい制度を」―日本共産党県会議員団がおこなったアンケートに切実な声が寄せられています。
国民の切実な願いをふみにじり、「格差と貧困」をつくってきた自民党政治に、国民は昨年の総選挙で「政権交代」の審判を下しました。
ところが誕生した民主党政権は、普天間基地の撤去、後期高齢者医療制度の廃止や労働者派遣法の抜本改正などの公約をふみにじり、国民の期待を裏切っています。円高対策、景気回復と雇用の確保というまったなしの課題に対しても、自民党政権時代と変わらない大企業支援が中心の経済政策しかうちだせません。
地域経済と地方自治体をめぐる危機も深刻です。
長年つづいた自民党政権時代に、大型開発優先・社会保障あとまわしの「逆立ち」した政治で介護や医療が次々に削られ、県民に重い負担が押し付けられました。小泉政権時代には「構造改革」路線で、貧困と格差の拡大、地域の切り捨てがすすめられました。「地方分権改革」「官から民へ」のかけ声で、地方交付税の大幅削減や強制的な市町合併、公立病院の再編が進められ、地方の崩壊や医師不足など県民の命とくらしを脅かす問題を引き起こしました。
いま民主党政権がすすめている「地域主権改革」は、自公政権の「地方分権改革」を継承するもので、いままで以上に地方自治を壊すものにほかなりません。「地域主権改革」は、憲法で国が責任をもつべきとされている、住民の生活を支えるための社会保障の基準などをなくしてしまうというもので、「住民福祉の機関」としての地方自治体の機能と役割をさらに弱めようというものです。道州制を視野に入れた自治体の広域化と改編によって大企業・多国籍企業が活動しやすい条件をつくり地方自治体を破壊する道にほかなりません。この12月に発足が決まった関西広域連合は、この方向に第一歩を踏み出すものです。
兵庫県政は、歴代の天下り知事のもとで、国に追随して県民犠牲の政治がつづけられてきました。井戸県政は、「行財政改革」を口実にして、くらし、福祉を切り捨てています。
民主党政権の「地域主権改革」や井戸県政の「新行革プラン」の推進とたたかって、「住民福祉の機関」としての役割を兵庫県政にとりもどして、県民のくらしと福祉を守り、地域経済の振興をはかることが求められています。来春の県会議員選挙は、こうした県民の願いに、どの政党と候補者がこたえることができるのかが問われる重要な選挙です。

2. 福祉削り、ムダな事業つづける井戸県政と「オール与党」


いま井戸県政は、「財政危機」を口実に、膨大な借金のツケを県民に押し付ける「新行革プラン」を推進して、県民の福祉・くらしを犠牲にしています。しかし兵庫県がかかえる大きな借金の責任は県民にありません。

開発優先で、大きな借金をつくった

90年代、自民党政府がアメリカの要求をのみ込んで全国ですすめられた630兆円にものぼる公共投資基本計画が全国の自治体の財政赤字を拡大しました。このとき兵庫県は、この計画を、「チャンス」ととらえ、大きな借金をしてまでムダな大型開発をすすめました。さらに阪神・淡路大震災でも、被災者の生活と営業を再建し、まちを元にもどす復旧をおこなうのではなく、「創造的復興」の名で、神戸空港や再開発などの大型開発をすすめ、数兆円の借金を上乗せし、全国有数の「借金県」にしてしまいました。
このような失政をつづけた自民党政治と、歴代知事の責任は重大ですが、知事を支え、開発優先の予算すべてに賛成してきたのが、日本共産党以外の自民・公明、そして民主も含めた「オール与党」勢力でした。

県民の命・くらし、福祉を削る「新行革プラン」

井戸県政がすすめる「新行革プラン」は、福祉医療制度や教育などの県民サービスをばっさり切り捨てて、県民の命・くらし、福祉を削るものにほかなりません。
「福祉医療」では老人医療費助成の対象者を175千人から最終的には4万人にまで減らすなど、障害者、母子・父子家庭をふくめ、昨年だけでも72万人が一挙に負担増になりました。「弱者切捨てだ」と大きな批判があがっています。
県立塚口病院の統合・廃止計画で地域医療を不安にし、県営住宅や公園などの民間会社管理(指定管理)、民間まかせの手法の導入で、利用者への福祉的な対応、安全性の確保ができなくなっています。
また、「職員3割削減」をかかげ、保健師や農業普及指導員をはじめとした県民サービスに直結する職員を減らし、保健所(健康福祉事務所)や土木事務所、農業改良普及センターなどを111から71事務所に減らしました。この結果、09年の豪雨災害時、直前に県土木事務所が廃止された佐用町では「県の職員は当日だれ一人佐用町の中心に到達できなかった」(光都土木事務所主幹の証言)ことや、新型インフルエンザでは、保健師削減と保健所の統廃合で「管轄区域が広がって、電話がまったくつながらなかった」(朝日新聞、0966日)など、県民の命とくらしを守る県の役割を低下させました。
この「新行革プラン」を、知事と一体になってすすめているのも、自民・民主・公明など日本共産党以外の「オール与党」です。

過大な開発つづけ、大企業には全国有数の補助金

県民には「新行革プラン」を押しつける一方で、もともと膨大な借金をつくった過大な開発には無反省です。「他府県よりも公共事業が多かった」とは認めますが、「選択と集中」の名で、相変わらず不要不急の空港やダム、高速道路・高規格道路の建設をすすめています。
「全国2位の延長距離」となる高速道路や高規格道路では、東播磨南北道路(1期、6kmで約600億円)や、並行して走るバイパスがあるのに新設しようとする播磨臨海地域道路(50km6千億円以上)の計画をはじめ、国事業でおこなわれている新名神高速道路など、不要不急の事業が目白押しです。
全国でもまれな天井知らずの補助金(パナソニック1社で218億円)を使って、「企業立地の件数が1位」を自慢していますが、雇用や地域への貢献については、日本銀行神戸支店も効果の少ないことを指摘しています。そのうえ、補助金を受けたパナソニック尼崎工場の生産ライン移設が報道されるなど、もうけ第一に身勝手な撤退を発表する大企業があいついでいます。「そろそろこの手法を見直すべきかもしれない」(朝日新聞、09618日)との県幹部の発言が紹介されたように、「大手企業を応援すれば、県民も潤う」式の補助金のばらまきは、もはや破綻が明らかです。ところが井戸県政は、「オール与党」で今後も継続することにしています。

3. 自民・民主・公明などに、県民の願いがたくせるでしょうか

―県民に悪いことでも、予算・議案にすべて賛成(オール与党)、知事といっしょに「新行革プラン」を推進

国政では与党と野党に分かれていても、兵庫県議会では、自民党と民主党、公明党は、いずれも与党として、井戸県政をささえています。県民要求に一貫して背を向けつづけてきたのが自民、民主、公明などの「オール与党」です。
与党最大会派の自民党は、井戸知事が2期目をめざす選挙の公約から「35人学級の実施」を取り下げるように要求。「(自民党)県議らの表情を曇らせたのは『35人学級の実施』だった。主に共産党が求め、知事も消極的だった少人数学級。自民は政策転換を受け入れるわけにはいかなかった」(神戸新聞、200563日)と報道されました。
民主党や公明党は、日本共産党が、県の「福祉医療」削減を回復し、公共事業の削減を盛り込んだ「予算組み替え案」を提案すると、自民党といっしょになって、「行革そのものを否定」(民主)、「給付のみを求める無責任なもの。投資事業の堅持は必要」(公明)と反対しました。
民主党県議の中には、神戸空港と関空を結ぶ海底トンネルを「早期に具体化すべき」(053月)と膨大なムダづかいを勧める人までいました。
請願書に込められた県民の声、県民要求に背を向けてきたのが自民、民主、公明などの「オール与党」です。「保育予算の増額」「日米FTA反対」「教育予算増額」を求める請願に、自民・民主・公明などはそろって反対。民主党は、09年の総選挙で自らが公約していた障害者自立支援法廃止や後期高齢者医療制度廃止を求める請願にも、「新政権で検討中だから」と反対しました。
自民党、公明党は、住民のくらしと福祉を破壊し、地域経済の衰退を加速させてきた「構造改革」路線や、「地方分権改革」を推進し、兵庫県政に持ち込む役割を果たしてきました。民主党は、自民党の「地方分権改革」を継承した「地域主権改革」の推進で、「住民福祉の機関」としての役割をさらに弱め、地方自治体破壊の道を推進しています。ここに、県議会で、県予算に一度も反対せず、チェックできない「オール与党」としての共通の基盤があります。
いま県議会に議席を持っていない、みんなの党も「地域主権型道州制」「地方交付税の廃止」などを主張し、民主党政権と基本的に同じ危険な方向で、県民サービス削減の「行革」をすすめる立場です。みんなの党は、神戸市議会では、「行財政改善に取り組んだ」と市の決算や議案すべてに賛成し、市民の切実な請願・陳情は不採択・打ち切りの態度をとるなど「オール与党」の一員となっています。

4. 県民の願い受けとめ、実現に奮闘する日本共産党県会議員団


県民のくらしが大変ないまだからこそ、憲法や地方自治法の本来の精神から、国の責任をしっかりと果たさせながら、兵庫県には、広域自治体として、県民の願い実現、「福祉の増進」のための施策を、市町とともに実現させていく役割が求められています。
日本共産党県会議員団は、県民いじめの井戸県政を正面から批判して、自民、民主、公明の「オール与党」と対決して、県民要求を議会に届け、一歩でも二歩でも実現するために一貫して奮闘してきました。毎年度予算の枠内でムダを削り、県民要求を実現する具体的な提案をおこない現実に県政を動かす役割を発揮してきました。

1)住民の願いを届ける


「使い捨ての派遣雇用をなんとかして」「子どもの医療費を無料に」「環境を守って」「30人学級の実現を」―県民の様々な願いを、住民といっしょに行政当局に申し入れをおこない、議会質問でとりあげて、実現をせまってきました。
日本共産党は、創立以来88年、「住民の苦難軽減・住民奉仕」を立党の原点としてきた党として、県民要求をとりあげ、先駆けて提案し、ねばりづよく取り組み、当初は否定的な県知事や与党をも動かして、実現に結びつけてきました。
大震災後の被災者生活再建支援法の制定は、国が背を向けるもとで、被災地と全国の運動で最高300万円の支給を実現しました。また、少人数学級については、議会で100回を超える質問をおこない、小学校4年生までの35人学級実現につなげました。
06年秋から県民のみなさんととりくんだ「こども署名」で、通院・入院とも中学校卒業までの医療費無料化をかかげ、県や市町を動かし、07年度に公費助成制度を就学前から小学校3年生までに拡充。10年度からは中学校卒業まで(入院のみ)に拡大を実現。また運動のなかで、県制度に上乗せした市町の無料化が大きく広がりました。
パナソニック尼崎工場に偽装請負の調査に入り、川崎重工などに〝派遣切りやめよ〟と申し入れるなど、直接企業に働きかけ、国や県にも要求。県は「多様な雇用、弾力的な働き方を認めるべき」という姿勢でしたが、論戦のなかで、「正社員を求める」と言わざるをえなくなり、誘致企業の雇用補助金も正社員に改善されました。
県民から県議会に出された請願(096月~103月まで)の紹介議員になった回数は、日本共産党が32回で、請願人の数では、30万人近くになります。自民(16回)、民主(15回)、公明(11回)、無所属(122回)と比べて、ずば抜けています。

210年連続で予算組み替えを提案


日本共産党は県民要求を実現する方策を財源も示して、具体的に提案してきました。10年連続しておこなっている「予算組み替え」提案では、中学校卒業まで医療費無料化、老人医療費助成の改悪ストップ、少人数学級、雇用・中小企業対策などの実現のために、不要不急の開発などのムダを削れば財源はあることを示して、具体的な提案をおこなってきました。
県の予算は一般会計で約2兆円です。子どもの医療費無料化を中学校卒業まで実施するのには57億円、35人学級を小学校全学年実施には15億円で、合計しても予算の0.4%で実現可能です。予算の主役を県民のくらしと福祉、地域経済振興にすえ、使い道をかえれば、財源は生み出せます。

日本共産党の予算組み替え提案(2010年度)の一部
子ども医療費中学校卒業まで無料化
57億円
35人学級(5, 6年)
15億円
老人などの「福祉医療」改悪をもとにもどす
16億円
私立高校生の授業料軽減
6億円
住宅リフォーム・耐震化
3.5億円

3)住民目線でムダをチェック


50年越しの武庫川ダム計画にたいし、党県議団は、住民運動と手を携えて、データのごまかしや環境への影響などの問題点を県議会で追及し、県の河川整備計画案(今後20年間)に盛り込ませず、事実上中止になりました。「ダムありきでなく、総合治水を。住民の命を守る堤防補強こそ優先すべき。河口部の堰を撤去して、天然アユの遡上できる武庫川に」などの主張は、当局も否定できないようになり、県計画にも位置づけられました。その他、八鹿ダム(養父市)、余野川ダム(箕面市)も中止させました。
但馬空港(県営)は、毎年5億円をつぎこんで収入わずか600万円。100億円以上かける滑走路延長を中止させ、播磨空港構想は、住民とともに反対し中止させました。
神戸空港や関西国際空港2期は、住民合意や需要の目途が明確でないのにもかかわらず、工事をすすめ、いま両方とも借金返済計画が暗礁にのりあげています。大阪国際空港とあわせた「関西3空港は供給過剰」と指摘し、見直しを提案しています。
透明性が求められる税金をつかった県会議員の政務調査について、全国的にも公開がはじまった当初から、「1円から領収書の添付は当然」と主張し、独自全面公開条例を5回(2007年は他会派と共同)、提案してきました。4年前、自民、民主、公明の与党会派は、事務所費・人件費、5万円未満の支出を非公開にする不十分な条例を制定。その後も全国の府県で公開がすすみ、ついに201010月、1円からの公開にむけた条例が制定されました。
さきに述べた「予算組み替え」提案でも、不要不急のムダを削る具体的な提案をおこなってきました。10年間の「予算組み替え」を合計すれば、4500億円にのぼるあらたな借金をする必要がなく、ムダを削り、県民サービスを充実しながら、財政再建を着実にすすめられることを示しています。

◆◇◆

来春の県会議員選挙は、県民のくらし・福祉を守り、地域経済振興をすすめる日本共産党と、県民いじめ・地方自治体破壊をすすめる「オール与党」の自民、民主、公明やみんなの党などとの対決となる選挙です。日本共産党県会議員団を強く大きくしていただくよう心からお願いをいたします。


日本共産党の重点政策

税金の無駄をチェックし、福祉・くらし、地域経済振興を大切にする兵庫県政に変えましょう


住民のくらしと福祉、地域経済の危機のもとで、地方自治体が「住民福祉の機関」としての機能と役割をとりもどすことが必要です。日本共産党は、社会保障や教育などに関する最低基準とその財源は国が責任をもって保障することを求めるとともに、兵庫県政が県民のくらし、福祉を応援する上乗せ改善をおこなうことを追求します。
地域経済の再生・発展には、井戸県政がすすめる「大企業応援」や、かつての「大型開発依存」では、明るい未来がありません。県内の雇用の79%、事業所数の99%を占める中小企業に重点をあてた施策、農林漁業を重視し、地域に根ざした「生きた」「血の通った」経済政策への転換を実現します。

1. なによりも「福祉の増進」や地域経済の振興を―これが県政の本来の仕事


1)景気・円高対策は、中小企業と雇用の対策でこそ


 円高の中小企業への影響調査実施。円高を理由にした発注打ち切りや下請け単価たたきの監督を強化
県営住宅の新設、住宅リフォーム制度の創設、耐震化・バリアフリー工事の予算増で仕事おこし
公契約条例を制定し、小規模工事登録制度・分離分割発注で、中小業者に仕事をまわす
世界的大企業への過大な支援(パナソニック4工場で218億円)の見直し
身勝手な大企業の撤退を許さず、地域経済と雇用へ責任を果たさせる
中小企業振興条例を制定し、全中小商工業者の意見を反映した産業政策を(悉皆調査)
緊急雇用(雇用調整助成金)の拡充(3年間・300日の限度の拡大等)
新卒者の応援、企業への正社員採用の働きかけ

2)農林漁業の対策


コメ農家への戸別所得補償を実効あるものに、価格保障と組み合わせて当面60kg2万円の実現を国に求める
米価下落対策として、政府の備蓄米買い入れなど、価格保障の対策を国に求める
都市農業の振興・固定資産税の軽減を国に求める
鳥獣被害対策の強化、国の防護柵予算の拡充
「行革」で減らされた農業改良センターの普及指導員をふやす
林道整備、里山林整備など森林対策の推進
燃油対策をはじめ安心して漁業ができるように支援を強める
日米FTATPPに反対し、第一次産業をまもり食料自給率向上をめざす

3)こども・子育て支援


中学校卒業まで予防接種を含め医療費窓口負担を完全無料化
保育所増設で待機児童をなくし、保育料の引き下げを実現
中学校給食の実施へ市町を支援し、栄養教諭の全校配置へ
児童虐待対策の抜本的強化。専門の相談員(児童福祉司)の増員
 小児救急体制の整備、妊婦健診の県補助をつづける

4)安心できる医療・介護を


福祉医療公費助成の改悪をストップし、6569歳の医療費自己負担2割を1割にし、障害者と母子・父子家庭は無料にもどす
後期高齢者医療制度の廃止、75歳以上の医療費無料化へ
国保料を市町とともに世帯あたり1万円引き下げ。国民健康保険の全県広域化に反対
子宮頸がん予防ワクチンの公費助成
介護保険料・利用料の軽減、特養ホームを増設
高齢者の命を切り捨てる介護療養病床の廃止(4600床)をやめる
県立病院・公立病院の「統合・再編」「独立行政法人化・民営化」をやめ充実をはかる
救急体制の整備、医師不足対策の充実
看護師養成、看護学生のための奨学金制度の復活
保健師の増員
介護・福祉施設で働く人の支援制度の拡充
障害者自立支援法の廃止
 小規模作業所の県単独補助の継続

5)子どもの全面的な成長・発達を保障する教育を


30人学級・少人数学級を小学校・中学校の全学年で
臨時・非正規でなく、正規の教員を増やす
耐震化工事やクーラーなどの設置をすすめる
長距離通学、受験競争の全県的な激化をもたらす高校の学区拡大(現在の全県16学区を1学区または7学区へ)は中止
学童保育の充実を
特別支援学校(旧養護学校)の新増設、過密・長距離通学の解消
定時制高校を存続し、募集定員をふやす
私学授業料を無償化へ、私学助成の拡充
給付制の奨学金制度をつくる
県民の文化、芸術、スポーツを保障する施策と施設を拡充する

6)災害につよく、環境にやさしい兵庫県へ


学校などの公的施設や民間住宅の耐震化の促進
ゲリラ豪雨対策(避難勧告のあり方、堤防の点検・補強)、津波・高潮対策の強化
武庫川ダムの中止をうけ、堤防補強やアユの遡上する自然豊かな河川へ
被災者支援は店舗等も対象に。床上浸水にも県独自支援の復活を
災害援護資金の返済免除を国に要求するとともに償還も延長、UR借り上げ県営住宅の延長、被災障害者への支援を
温室効果ガスの削減、大規模事業所の公表制度と削減義務化を
太陽光発電設備の設置への補助の復活
アスベスト被害者対策の強化、建物解体時の飛散防止対策

2. 税金のむだづかいの一掃


神戸空港、関西国際空港2期、但馬空港への税金投入見直し
金出地、西紀など、ダム事業の見直し
近畿の5ダム(丹生・余野川等)中止・見直しで、阪神・神戸の水道料金の引き下げを
新名神・東播磨南北道路、播磨臨海地域道路など高規格道路の凍結・見直し
県営水道の過大計画、「水あまり」(水源75万トン、申し込みは38万トン)の抜本的な見直し、市町への高い県水の押し付けをやめる
3haの「塩漬け土地」問題の総括・反省、県民への説明責任を果たす

3. 県議会の改革をすすめる


情報公開をすすめ、政務調査費の1円からの全面公開化にともない、県民の声をうけて、使い方をチェックし見直す。常任委員会の議事録を、議員名を公開したものに改善
費用弁償は実費支給に改善、議員報酬も引き下げへ見直し
請願人の議会での趣旨説明の実現、陳情も請願と同列に扱う仕組みに改善する
議会の民主的運営、少数会派の意見の尊重
海外視察の見直し・簡素化をおこなう

4. 憲法をまもり県政に生かす


核廃絶の県議会決議をいかして、兵庫県でも非核・平和宣言を
きわめて危険な米軍機の低空飛行訓練の中止を
女性の地位向上、所得税法56条の見直し
府県の廃止と市町村の大再編で国の地方支出を大幅に削減する道州制に反対