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2013年9月5日木曜日

2013年 神戸市長選政策(案)

日本共産党兵庫県委員会がことし一月に発表した神戸市長選挙政策(案)です。


あたたかい市政に

市民に冷たい「オール与党」政治を転換し、
いのちとくらしを守る神戸市政の実現を

二〇一三年一月
日本共産党兵庫県委員会
日本共産党神戸市会議員団

ことし秋、神戸市長選挙が行われます。
国政では、「政治を変えてほしい」という期待を裏切った民主党政権は、昨年の総選挙で退陣に追い込まれました。総選挙後も、消費税増税阻止、原発ゼロ、TPP参加阻止、オスプレイ配備反対など国民のたたかいは、広がりつづけています。復活した自民・公明党の政権は、国民が切実に解決をねがう、これらの問題に、まともな答えも展望も持ちあわせていません。「維新の会」や「みんなの党」など、政治への失望や閉塞感につけこむ形で、「改革者」のポーズをとりつつ自民党型の古い政治を、より強権的にすすめようとする逆流もおこっています。
日本共産党は、「アメリカいいなり」「財界中心」の古い政治の継続や反動的逆流に正面から対決するとともに、各分野の国民の運動と共同をさらに発展させるために全力をあげます。道州制など地方自治体のさらなる変質をゆるさず、住民のくらしと地域経済をたてなおすために力をつくします。市民との矛盾をひろげる神戸市政の根本的転換をめざします。

*自治体の役割なげすてた矢田市政


三期十二年の矢田市政は、「地方行革」など、自公政権、民主党政権と連続した国の悪政と歩調を合わせ、市民の福祉を切り捨てる市政を、自民・民主・公明党など「オール与党」ですすめてきました。十八年前の阪神・淡路大震災以来、市民は「空港より住宅を」と声をあげてきましたが、矢田市政は、被災者の生活再建より開発優先の「創造的復興」路線を継承してきました。
二〇〇九年の市長選挙では、市民に冷たい市政を「変えてほしい」という流れが強まるなか、矢田市長は、三選はされましたが、得票数・得票率とも過去三回で最低となりました。
市長選挙後も、「せめて子どもの医療費は無料に」「中学校給食を実施してほしい」「高すぎる国民健康保険料の引き下げを」「住み慣れた借り上げ住宅に住み続けたい」など市民の願いは、切実です。しかし、矢田市政は、「お金がない」と市民の願いに背を向け、「福祉とくらしを守る」という地方自治体本来の役割を投げ捨てています。その一方で、市民の反対をおしきってつくった神戸空港に多額な予算を毎年、投入し、大赤字の「海上アクセス」維持のためには、市が貸したお金など百五十八億円を「帳消し」する大盤振る舞いまでしています。

*広がる神戸市民の運動と共同


神戸市政にたいしこれまで、三十万人以上の署名がよせられた神戸空港の住民投票運動をはじめ、敬老パス有料化反対、保育所民営化反対、国民健康保険の改善など市民運動が発展しています。
〇九年の市長選挙後も、市民の運動が大きくひろがっています。中学校給食は、署名が六万を超え、市に検討会が設置されました。県立こども病院の移転、借り上げ復興公営住宅からの追い出し、福祉乗車証(福祉パス)の取り上げなど、市民のいのちと人権をおびやかす計画に、それぞれの分野で連絡会が結成され、市民の反撃がひろがっています。
一一年九月には、労働組合、業者、女性、医療、福祉の各団体と日本共産党の十八団体でつくる「神戸・市民要求を実現する会」が結成され、市民要求の実現を求める恒常的な共同のとりくみもすすんでいます。

*市民と共同し市政転換に全力


〇九年の市長選では、民主党の単独推薦の矢田市長のほか、「神戸を変える」といいながら橋下府知事(当時)や民主党に応援をすがり、みんなの党の応援を受けて公務員攻撃を繰り広げた陣営もありました。しかし、選挙がおわれば、民主・自民・公明も、みんなの党も、市予算にすべて賛成し、市民の切実な請願には背を向けるなど、「オール与党」となって矢田市政を支えています。
国の悪政への追随をやめ、防波堤となって市民を守ること、市民に冷たい「オール与党」政治としっかりと決別し、切実な要求実現へねばりづよく運動する市民・団体と共同する確かな立場にたってこそ、地方自治体本来の役割をとりもどし、いのちとくらしを守るあたたかい神戸市政に転換できるのではないでしょうか。
日本共産党は、矢田市政の市民いじめに正面から対決し、要求実現をめざす団体・個人と手を携え、多くの運動とともに歩んできました。矢田市政の継承や「オール与党」勢力による市政継続をゆるさず、憲法と地方自治法をくらしにいかす市民本位の市政へ転換しましょう。日本共産党は、いのちとくらしをまもる市民にあたたかい神戸の実現へ、ひろく共同をよびかけます。



◆国の悪政と歩調あわせ福祉切り捨てる市政を変え


矢田市政の三期十二年の時期、神戸市民のくらしはどうだったでしょうか。
「官から民へ」「小さな政府」などと「構造改革」路線をひた走った小泉自公政権。社会保障の連続改悪、人間らしい雇用の破壊など、惨たんたる状況に国民を追い込みました。その後の民主党政権も、大型開発など無駄づかいは温存し、「事業仕分け」などの手法で「福祉切り捨て」「地方の切り捨て」をすすめました。
市民の年金や給与は減り続け、市民一人当たりの課税所得額は、十年間で四十二万円も減少しました。生活保護は十年間で約一万四千世帯増加し、受給率は三%を超えました。
貧困と格差がひろがるもとで市民が何よりもくらしと営業への応援を求めたこの時期、矢田市政は、国と歩調をあわせて、福祉を切り捨て、企業よびこみのための開発優先の政治をすすめました。

▽「民間活力の導入」で市民のくらしは―


矢田市長は十二年前、「福祉のまちづくり最優先」という公約を掲げました。しかし、矢田市長がすすめたのは「行政経営方針」という「行革」計画でした。「受益と負担の適正化」と称して、福祉や行政サービスの「仕分け」を行い、とくに所得の低い市民への福祉が、ねらい撃ちにされました。
障害者への毎月の福祉年金、生活保護世帯への夏冬見舞金など市独自の施策は、次つぎと廃止されました。敬老パスは有料化され、利用者は五万人も減りました。保育料は五回、値上げされました。国保料も値上げされ、国保証(正規)のとりあげは、約二万五千世帯におよびます。市民負担増は、この十年間、主なものだけで累計二百七十六億円にのぼります。
市職員は、三千人以上削減され、民間委託と非正規職員への置き換えがすすめられ、窓口職員にも短期雇用が導入され、「官製ワーキングプア」も拡大しました。保育士資格のないパート職員だけで早朝保育をせざるをえない公立保育所まで生まれました。大震災を体験したのに、消防職員は国基準に二百人も足りず、五人乗りポンプ車は四人で対応し、救急隊も国基準以下です。
神戸空港や新長田再開発、大型港湾事業は、借金をしてすすめながら、学校などの空調設置など市民に身近な公共事業は、市債(借入金)の削減という方針のもとで後回しにされ、公立の保育所や特別養護老人ホームは、一カ所もつくりませんでした。入所待ちは、保育所二千八百九十六人、特養ホーム五千八百九人にのぼります。
「民間活力の導入」を口実に、市バス・保育所・市民病院・市営住宅の民間委託や民営化、指定管理者制度への移行をすすめ、市立図書館まで民間企業に運営をゆだねました。「民間丸投げ」のやり方は、市民との矛盾を生み、保護者や子どもを無視した保育所の民営化に、裁判所が一時差し止めを行うほどでした。
「民間に開放」された仕事には、神戸製鋼や三菱重工、オリックス、大阪ガス、阪急バス、神姫バスなど大手企業とそのグループ会社が参入し、仕事と利益をえる一方、これまで事業を受注してきた地元の中小業者が締め出されたり、働く人の低賃金・非正規化を招いています。
矢田市長は、市民負担増や公的サービスの「民間丸投げ」など、震災以降の「行財政改革」で神戸市に二千九百億円の財政効果を生み出し、一一年度は、震災後初めて「財源対策」を講じずに黒字を確保したといいます。しかし、市民には、福祉・医療など市民サービスの削減と負担増が押し付けられ、「官製ワーキングプア」が拡大しただけではないでしょうか。

▽空港や「企業よびこみ」で地元雇用や中小企業は―


「大規模投資は抑制し、市民生活に身近な投資を最優先する」という公約も反故にされました。市の予算配分は、神戸空港や海上アクセス、政府や財界・大企業の意向に沿った「新産業」政策=医療産業都市の推進が最優先にされました。市内事業所の九九%をしめる中小業者への支援より、外資系など企業よびこみのための基盤整備がすすめられました。空港とその関連事業をはじめ、「国際競争力」の名のもとに港湾整備もすすめられています。
ポートアイランド第二期などを中心に、新たな進出企業には、固定資産税・事業所を減税したり、神戸市が市や国の外郭団体とともに、テナントビルを建設したうえ、家賃補助を行うなど、いたれりつくせりです。
医療産業都市をすすめるため、医師会をはじめ市民や患者の反対を押し切って、現地改修で十分可能な中央市民病院を、三百八十二億円もの税金を投入して、一・三キロメートル南のポートアイランド第二期に新築、移転させました。病床を三百床も減らし、救急搬送の時間が長くなるのもおかまいなしです。
外資系など新たな進出企業には、この十年間で約三十億円の税金の減免やテナント料補助などが行われてきましたが、「この十年間で進出した医療関連企業の約三割が撤退した。定着率はいまひとつ」(日経一〇年十二月二十一日付)です。国の補助金を含め二十二億円も投入されたテナントビル「国際医療開発センター」が、開設半年余で破綻し、市の外郭団体が借金八億円ともども引きとる事態となっています。
神戸の地域経済の支え手である中小企業の営業と雇用には、まともな支援の手が差し伸べられませんでした。それどころか、神戸市は、震災と不況から立ち直れない中小業者への数少ない支援制度だった賃貸工場家賃補助を打ち切るなど、冷たい仕打ちをとりました。
この十年間に、非正規労働者は八万人も増え、労働者に占める率は三八・九%にも達しています。働く人の給与も減りつづけ、雇用者報酬は十年間で一五%も減少、失業者は一割も増えています。神戸のものづくりを支える製造業は、十年前とくらべて事業所数で七二%、従業者数で八九%と減少しています。
バンドー化学の工場閉鎖、三菱重工の商船建造中止、川崎重工の下請け単価切り下げなど、目先の利益を追い求める大企業の行動に、神戸市は、「最終的には経営の判断」として、神戸の経済と雇用への責任をもとめる姿勢にたっていません。地域に根ざした産業振興より、関西財界などの意向にそった企業の「海外展開支援」をすすめています。
震災後、神戸市が最優先にすすめてきた、ポートアイランド第二期、複合産業団地(西区)、神戸空港などの開発地は、売れ残りが多く、数千億円という莫大な借金が残されました。
「医療産業都市や神戸空港に積極的に取り組み、市民所得の一〇%アップをめざす」とした、神戸市の大型開発・企業よびこみ型の経済政策は、破綻が明らかです。

▽市民との矛盾を広げる「オール与党」の神戸市政


矢田市長は、市民のいのちとくらし・営業を守ることよりも、国や財界の意向にそって、「福祉切り捨て・民間丸投げの行財政改革」と「開発優先・企業よびこみ型の経済政策」を優先する政治をつづけています。
海上アクセスの累積赤字、住宅供給公社の宅地事業の失敗、マリンホテルズ事業など外郭団体の負債(数百億円)が顕在化しましたが、矢田市長は、責任をあいまいにしたまま、負債を市民に押し付けようとしています。神戸空港は、今後のあり方を市民に問うことなく、建設時の借金を返すためにさらに借金を重ねるなど市民負担を増やしています。海上アクセスも、市民の批判をよそに運航をつづけています。
国・県が発表した南海トラフ巨大地震の被害想定によれば、沿岸部や人工島などに津波の浸水・液状化などで大きな被害が予想されています。しかし、神戸市は、医療産業都市のために、医師会の反対をおして、高台にある県立こども病院をポートアイランド第二期に誘致しようとしています。
財界・大企業が期待する「医療産業」に、市民病院につづき、こども病院まで差し出すようなやり方に、市民の懸念はひろがっています。医療ツーリズムや臓器移植に、市医師会も「医療を、生命倫理を軽視した営利目的の産業のために利用し、しかも神戸市等が組織的に行おうとしていることに対してはっきりと異議を唱え、“神戸市における生命倫理を軽視した営利目的の生体肝移植に断固反対する”」などときびしく批判しています。
「民業圧迫」という発想からの、市営住宅の七千戸削減計画のために、借り上げ復興公営住宅から被災者を追い出そうとしています。震災後、十数年かけて培ったコミュニティをバラバラにするなど、入居者の生存権を奪うものであり、行政がやるべき行為ではありません。市民の多くが批判の声をあげ、弁護士団体からは違法性も指摘されています。
矢田市長は、国民生活の焦眉の課題でも、「消費税の増税は、一つの見識」「原発を全部止めるのは現実的ではない」「TPPは国のレベルで判断すべき」と市民の利益に背を向けています。「国とのパイプを太くする」などとして、総務省高級官僚を副市長にすえるなど、国追随の姿勢を強めようとしています。副市長となった久元氏は、国の官僚として指定管理者制度の創設に携わり、公的サービスの民間丸投げをすすめた人です。
矢田市政は、民主・自民・公明、みんなの党の「オール与党」に支えられながら、福祉切り捨て・民間丸投げ方針の「完遂」を掲げ、福祉パスの取り上げ、保育所のさらなる民営化など、福祉・くらし・医療など市民生活の基盤をさらに掘り崩そうとしています。市民と市政との矛盾は、ますますひろがっています。



◆いのちとくらしを守る自治体本来の役割はたす市政へ


日本共産党は、憲法と地方自治法の精神をいかし、市民とともに歩み、いのちとくらし・雇用と営業を守る自治体本来の役割をはたす神戸市政への転換を掲げ、その実現のための共同に全力をつくします。

▽市民生活応援を最優先する市政に


第一の柱は、福祉とくらし、子育て・教育など市民生活を応援する神戸市政への転換です。「受益と負担の適正化」「民間活力の導入」の名で、市民運動できずきあげてきた独自施策を切り捨てたり、公共サービスを「民間丸投げ」することを許さず、福祉とくらしをよくする仕事に、最優先でとりくむ神戸市政に転換します。
神戸市の予算は、一般会計・特別会計・企業会計を合わせて一兆八千億円です。日本共産党神戸市会議員団は、毎年、市予算の組み替え提案を行い、ムダづかいにメスを入れ、予算のつかい道を変えれば、市民の願いにこたえる多くの施策が実現できることを示してきました。
一般会計予算の二%程度を組み替えるだけで、中学校給食の実現や子どもの医療費の中学卒業までの無料化、国民健康保険料や保育料の引き下げが実現できます。入所待ちをなくすための公立保育所や特別養護老人ホームの建設、中学校給食実施のための調理施設の建設、住宅リフォーム助成の創設で、地元中小企業の仕事も生み出せます。
市税・保険料の滞納には、市民の生活再建を最優先に、生活困窮に応じた支援事業を行います。生活保護世帯への独自支援策の復活や、就学援助の拡充を行います。
いじめ・DV・虐待・自殺対策は、市民のいのち最優先に、相談・メンタルヘルス・情報共有・一時避難などの支援体制を強化します。原因となる「社会的要因」を取り除く努力をつよめます。
神戸市が、福祉に力を注ぐことは、市民生活を安定させるとともに、将来への不安をとりのぞき、消費を活性化させます。さらに地元の中小企業の仕事と雇用、地域経済に元気を与えることにもつながります。
積極的な情報公開と住民投票条例で、市民の声を市政にいかします。

▽内需主導で地域経済の好循環をつくる市政に


第二の柱は、地域に根ざした産業を振興する神戸市政への転換です。神戸空港など大型開発・企業よびこみ型の経済政策の破綻は、明らかです。外からの企業誘致がおこわれても、利益は本社のある市外に吸い上げられ、地域に根付かず、雇用も短期・非正規へのおきかえにすぎません。
神戸経済を元気にするには、地域経済を足元からあたため、内需主導の好循環をつくる経済政策に転換することが必要です。地域に根ざした中小企業、地場産業、商業や観光、農漁業を総合的に支援してこそ、安定した雇用の場もつくり出すことができます。地域の産業を応援するのは、自治体の責務です。中小企業基本法第六条にもとづき、中小企業振興基本条例を制定し、正規雇用の確保と中小企業の仕事おこしに、神戸市が全力をあげます。
医療産業都市や駅前再開発、港湾の大規模化などの大型公共事業偏重を見直します。生活道路や橋、保育所や特別養護老人ホームの新設、公営住宅や学校園の改修など、市民に喜ばれ、地元の中小企業の仕事おこしに役立つ地域密着型に切り替えます。
公共事業や施設管理の大手企業への「丸投げ」を見直し、地元の中小企業に幅広く発注します。公契約条例を制定し、神戸市が発注する工事や委託事業などで働く労働者の賃金を保証するとともに、受注をめぐる著しい低価格競争に歯止めをかけます。
地域経済に大きな効果を発揮する住宅リフォーム助成の創設や、省エネ改修や太陽光・小水力など地域密着型の自然・再生エネルギーをすすめる中小企業や市民を積極的に応援します。中学校給食など地元の農水産物の販路拡大と地産地消の推進、六甲山など森林再整備にかかわる林業従事者の育成など、新たな仕事おこしをすすめます。

▽国や大企業に市民の立場で発言し、くらしと雇用を守る市政に


第三の柱は、国の悪政からの防波堤となって、市民のくらしを守る神戸市政への転換です。大企業に力にみあった、地域社会と地域経済への役割り発揮をしっかりと求める市政に転換します。
政府がすすめようとする、消費税大増税、社会保障と雇用の破壊、TPP、原発再稼働は、市民にとって大問題です。しかし、矢田市長は、指定都市市長会の会長として、生活保護制度の改悪や地方財源の不足分に消費税増税をもとめるなど、国の悪政の後押しをしています。
市民の利益をまもる立場で国にものをいう防波堤の役割りが求められています。非核「神戸方式」を実施する神戸市として、平和市長会議で積極的な役割を果たし、脱原発をめざす首長会議に参加するなど、地方からも消費税増税阻止、即時原発ゼロ、改憲や道州制に反対、核兵器廃絶などを発信します。
大企業や大店舗の地域経済を無視したふるまいを野放しにしては、地域経済が疲弊します。大企業や大店舗の進出・閉鎖撤退、労働者の首切りや下請け単価の切り捨てなどにたいし、地域住民や神戸市に事前に説明・相談を行うことを義務付け、神戸市として、大企業の社会的責任と役割発揮をもとめる努力を行います。やむなく閉鎖、撤退する場合も、地元産業活性化のための資金拠出など地域社会・地域経済との共存共栄のルールづくりを行います。

▽災害からいのちを守り、安心して住み続けられる神戸に


第四の柱は、大災害から市民のいのちを守り、子どもも高齢者もみんなが、安心してくらし続けられる地域づくりをすすめる神戸市政への転換です。
東日本大震災と福島原発事故は、住民のいのちとくらしを守ることこそ地方自治体が最優先にすべき仕事であることを、あらためて明確に示しました。
地域にふだんから医療、介護、福祉、子育て支援のネットワークがあってこそ、災害時にも力を発揮することは、阪神・淡路大震災の教訓でもあります。区役所や支所・出張所など市民に身近なところへの正規職員を厚く配置します。区保健所の復活や、病院・診療所、商店街、介護施設などの地域への計画的な誘致、学校や幼稚園・保育所・市営住宅・公園などの建設を行政が責任をもってすすめます。コミュニティバスなど地域の足を守るとりくみを強化します。福祉パスの取り上げはやめ、敬老パスは無料にもどし、対象路線を拡充します。
学校・保育所・市民病院・市営住宅など災害時に市民のいのちをまもる拠点となる公共施設の「防災力」を強化し、民間委託を見直すなど、災害に強い神戸市づくりをすすめます。消防体制は、早期に国基準を達成するとともに、消防団や防災福祉コミュニティ、企業の力をあわせた地域防災力を高めます。市民参加で日常的な福祉・防災の助け合いのネットワークづくりを積極的にすすめます。借り上げ公営住宅の延長・買い取りを行い、入居者が安心して住み続けられるようにします。
開発団地や埋立地、コンビナート群など市内の災害危険個所の総点検を行うとともに、防災を無視した開発をやめ、必要な防災施設を整備するなど防災まちづくりをすすめます。ポートアイランド第二期への医療関連施設の集積はストップします。
大震災の教訓にたって、地方自治体として独自に、被災者の「住まい」と「生業」の再建に公的支援するとともに、必要な公的支援を行うことを国の基本原則にすえるよう働きかけます。
原子力発電の過酷事故が起これば市民のくらしも経済も破壊されます。大飯原発の停止、原発再稼働の中止、即時原発ゼロを国・電力会社にもとめるとともに、自然・再生可能エネルギーの飛躍的な普及につとめます。



(2013年1月27日付「兵庫民報」掲載)

2011年11月22日火曜日

矢田神戸市政10年に対するアピール

命と暮らし守る自治体本来の役割りをはたす神戸市政へ、転換を
矢田市政10年、2013年市長選へ折り返し点にたって

2011年11月22日 日本共産党兵庫県委員会

神戸市は、矢田立郎市長が市政を担当して11月で10年となりました。また、2013年の市長選挙にむけた折り返し点になりました。

日本共産党は、子どもの医療費無料化や中学校給食の実現、国保料の引き下げなど、2009年の市長選挙、ことし4月のいっせい地方選挙でかかげた市民要求の実現へ、力をあわせて運動してきました。

ひきつづき市民要求の実現と福祉・防災のまちづくりに全力をつくすとともに、2013年秋の市長選挙で市政を転換し、国の悪政から命と暮らしを守るという自治体本来の役割りをはたす市政の実現へ、あらためて決意を表明するものです。

「開発から福祉へ」とは裏腹に

1995年の阪神・淡路大震災以来、日本共産党は、生活と営業の再建、市民本位の復興をもとめて、市民のみなさんと力をあわせて運動してきました。

しかし、神戸市政は、震災直後から「神戸空港は復興のシンボル」などと巨大開発をすすめる一方で、被災者への個人補償を否定し、コミュニティーを破壊して、孤独死をひきおこしてきました。このとき市の空港整備本部長だったのが、いまの矢田市長でした。

矢田氏は2001年、市長に就任。「開発から福祉へ」というスローガンとは裏腹に「行政経営方針」という「行革」計画で、市民サービスと福祉を削り、開発優先に税金を使うという「逆立ち」した市政をすすめてきました。

高齢者の敬老パスを有料化、敬老祝い金も縮小、重度障害者の福祉年金や生活保護世帯の夏冬見舞金を廃止しました。

いま借上げ公営住宅で暮らす被災者の追い出しを計画しています。被災から17年、ようやく落ち着いた暮らしができるようになった高齢者を追い出すなど、人道的にも絶対に許せません。

高い国保料が払えない人からは保険証をとりあげています。敬老パスの有料化と値上げで、無料時代と比べて1日あたり利用者は5万人も減っています。

震災前の暮らしをとりもどせず、貧困と格差に苦しむ市民にたいし、これが地方自治体のやることでしょうか。

保育所の待機児童は、2850人(11年11月1日現在)にのぼり、市内の5行政区ではゼロ歳児の受け入れができません。子どもの医療費(通院)無料は、ゼロ歳児だけ。県下で最低クラスです。

市職員を4千人以上、削減。早朝保育が保育士資格のないパート職員だけであったり、消防署員は国基準の87%で5人乗りポンプ車を4人で対応という事態も。市の非正規職員は、3千人以上にのぼり、官製ワーキングプアをつくりだしています。公立保育所は10万人もの反対署名にも背をむけて民営化をすすめました。

神戸空港は、市内で3千6百億円の所得と2万7千人の雇用の増加が見込まれると大宣伝しましたが、いまでは経済効果を「把握するのは難しい」としかいえません。土地が売れないため、借金返済のめども立たず破綻状態です。特別会計からの赤字補てん、借金返済のための借金など、ムダづかいを重ねています。

外国から金持ちをよびこもうとする医療ツーリズムなど医療産業都市にも税金を注いでいます。

企業誘致には家賃や税の減免、土地の安売りなどの大盤振る舞いの一方で、中小企業には、賃貸工場家賃補助をうちきるなど冷たい態度をとってきました。

東日本大震災の教訓にも逆行

東日本大震災と原発危機は、日本の政治のあり方をきびしく問い、命と暮らしを守ることこそ地方自治体の使命であることを痛切にしめしました。日ごろから福祉のネットワークを充実し、市民の暮らしを支える立場で市政運営をつらぬいてこそ、災害時にも市民の安心・安全を守れます。ところが、神戸市政は、阪神・淡路大震災、東日本大震災の教訓にも逆行し、自治体本来の役割りをいっそう投げ捨てる態度をとっています。「断固たる行財政の改革を断行する」と、新しい「行革」計画(行財政改革2015)をかかげ、さらなる職員削減や「民間活力の活用」、保育所・学校・幼稚園の再編(統廃合)をすすめようとしています。

矢田市政支える民主・自民・公明な ど「オール与党」

2009年の神戸市長選挙では、国の悪政に追随して自治体の役割を投げ捨て、「開発会社」化する一方で、市民の暮らしを切り捨てる「オール与党」市政の転換が問われました。

この市長選挙では、「神戸を変える」といいながら、橋下徹・前大阪府知事や民主党に応援をすがり、みんなの党の応援をうけて公務員攻撃をくりひろげた陣営もありました。

しかし、選挙が終われば、みんなの党も含めて民主・自民・公明など「オール与党」となって矢田市政を支え、「行財政改革の更なる推進」にまい進しています。

日本共産党は、神戸空港や「海上アクセス」、中央市民病院移転などムダづかいをきびしく批判するとともに、敬老パスの無料復活、国保料の引き下げ、子どもの医療費無料化や30人学級など、市民とともに運動してきた切実な要求を公約にかかげてたたかいました。市民要求を出発点に、市民の願いにこたえる市政転換の旗印を明らかにして市長選挙をたたかいました。

ことし4月の神戸市議選では、日本共産党の政策案「市民不在の市政と対決し、市民の暮らし、福祉、営業を守る日本共産党の前進を」を発表。冷たい市政の実態を告発するとともに、要求実現の展望をあきらかにしてきました。

選挙後も市民と力をあわせて運動してきました。中学校給食は、短期間に3万3千人を超える署名が市議会に提出され、かたくなな「愛情弁当」論を打ち破り、検討委員会の設置が決まるなど、市政を動かしています。

神戸市政ではこれまで、30万人以上の署名がよせられた神戸空港の住民投票運動をはじめとして、敬老パス、保育所民営化反対など市民運動が力づよく根づいています。国保料滞納世帯の子どもたちには保険証が交付されるようになりました。市民が声をあげ、ねばりづよく運動をすすめれば、市政を動かすことができることを示しています。

市民との共同に力つくし市政転換に全力あげる日本共産党

日本共産党は、市民との共同の運動に力をつくし、要求を一歩一歩前進させるために奮闘します。同時に、市民の願いにこたえるためにも、2年後の市長選挙にむけて、市政の転換に全力をつくします。

消費税増税、税と社会保障の「改革」、TPPなどの国の悪政から市民の暮らしを守る市政の実現、逆立ちした「オール与党」市政を転換し、命と暮らし最優先の自治体本来の姿をとりもどし、原発ゼロと自然エネルギーの推進、災害から市民を守る安心・安全の市政がもとめられています。

日本共産党は、綱領で「『住民が主人公』を貫き、住民の利益への奉仕を最優先の課題とする地方自治を確立する」ことを掲げ、こうした共同と団結をめざす運動で先頭にたって推進する役割を明記しています。

市長選挙にむけて、無党派の人たちとの共同に全力をつくすとともに、政策、組織、候補者づくりで政党としての責任をはたす決意です。「オール与党」政治の転換へ、政策的一致と共同の意思を尊重した共同のたたかいに全力をつくします。

あらためて市政の転換へひろく共同をよびかけるものです。


2011年2月14日月曜日

2011年神戸市議会議員選挙にのぞむ日本共産党の政策(案)


市民不在の市政と対決し、市民のくらし、福祉、営業を守る日本共産党の前進を
神戸市議会議員選挙にのぞむ日本共産党の政策(案)

                                                        20101116
                                                       日本共産党兵庫県委員会
                                                      日本共産党神戸市会議員団

1 市民の声が届く議会にするチャンス

 20114月に神戸市議会議員選挙がおこなわれます。
 「暮らしを少しでもよくしたい」「政治を変えたい」という国民、市民の思いは、2009年総選挙以来、今も続いています。日本共産党は、こうした市民の願いを実現するために全力でとりくんでいく決意です。
 長引く不況、雇用不安は続き、民主党政権になっても、市民の生活はよくなりません。自民党・公明党政権がすすめた社会保障切り捨ての路線から脱却する方向を、民主党政権も示していません。それどころか、後期高齢者医療制度の廃止は見送り、障害者自立支援法の抜本改正もすすめようとしていません。「地域主権」といいながら、事実上、地方自治体への財源保障を減額させることなどをねらっています。また、保育に対する公的責任を放棄する「改革」を打ち出すなど、自民党・公明党政権よりも危険な政策を推進しようとしています。このことが、政権交代後も、国民、市民の暮らしは苦しいまま、という状況が続く原因です。
地方自治体の一番の役割は「住民の福祉の増進を図る」(地方自治法第1条の2)ことです。
 市民が苦しんでいる時、本来なら、神戸市が、市民生活が少しでも良くなるよう、あたたかい施策を講じるべきですが、逆に、福祉や市民サービスを減らすなど、国の悪政に追随しています。「市民の暮らしや福祉を守る」という地方自治体の基本的な役割を果たしていないのが、今の神戸市です。
 2009年の市長選挙では、民主党が単独で矢田氏を推薦するという形になりましたが、選挙後も、自民党、公明党を含めて「オール与党」という状況は変わっていません。市長が提案する議案すべてに賛成し、ムダな開発を推進し、福祉の削減を進め、ムダづかいによる財政難のツケを市民に押しつけているのです。
 来年の市議選は、市民の暮らしと福祉、地域経済をどう立て直すのか、「住民の福祉を守る機関」としての自治体本来の役割をどうとりもどすのか、が問われます。「市長提案に何でも賛成」の議会から、市民の声を届け、市民要求実現を前進させ、市当局を適切にチェックする議会に変えるきっかけとなる選挙です。

2 市民の暮らしを守る神戸市政に
   
広がる貧困と格差
   
 市民の暮らしは一向に良くなりません。逆に貧困と格差が広がっています。生活保護受給者は、2000年度の19060世帯28108人から2009年度には28,812世帯42,874人へと急増しています。就学援助を受ける児童・生徒も増えています。
 市内の事業所は、94年の83,872から06年には71,469へ、13,655も減少しています。特に、従業員が4人以下の小さな事業所は11,918も減っているのです(「事業所統計」から)。市民全体の給与収入(雇用者報酬)も、97年の34,554億円から07年には3771億円に、3,783億円も減っています(「市民経済計算」から)。
 高すぎる保険料が問題になっている国民健康保険。保険料を滞納している世帯は48,895世帯(10331日現在)。加入世帯の2割に達します。保険証が交付されず「資格証」の世帯が4,197世帯(同)。このほか、区役所の窓口に「留め置き」されたままの保険証もあります。病気になっても病院に行けない市民が増え続けています。お弁当を持っていくことも、買うこともできない中学生も増えています。貧困と格差の是正は、待ったなしの課題です。

福祉削減やめ充実を

 市民の生活や営業が苦しい時、そこに支援の手を差し伸べるのが自治体としての神戸市がすべき仕事です。ところが、神戸市は、全く逆のことをしています。
 市民税や国民健康保険料を滞納した人には、容赦なしの「取り立て」です。「サラ金よりもひどい」(一方的に給料を差し押さえられた女性)という声が上がるのも当然です。盛岡市では、市税を滞納した理由をきちんと聞き、市の全部局をあげて支援策を検討、生活が軌道に乗るまで税の取り立てをしない、という対策を講じています。神戸市は正反対です。神戸市のようなやり方は、市民生活を一層苦しくすることになり、長期的にみれば、市税収入も減少します。
 神戸市が削った福祉は、敬老祝い金の大幅縮小、障害者福祉年金の廃止、敬老パス有料化・値上げ、社会福祉法人の上下水道料減免制度の縮小、就学援助の縮小、生活保護世帯への夏期冬期見舞金廃止など、多方面にわたっています。公共料金も、保育料の値上げや学童保育、粗大ごみの有料化、手数料・使用料も墓地使用料も含め、軒並み引き上げられました。まさに「ゆりかごから墓場まで」の値上げが進められました。
200810月に有料化した敬老パスもその一つ。バスを利用するたびに50円、地下鉄・新交通は子ども料金の半額としました。2010年の10月からは負担を倍増させました。高齢者から「5000円をチャージしてもすぐになくなる」「ボランティアや行事に参加する回数が減った」「通院は減らせない、食事を減らすしかない」など、深刻な声が多く寄せられています。
 国民健康保険料も、一人当たり保険料が、05年度の75,000円から10年度には87,000円へと12,000円もアップしています。国民健康保険への一般会計からの繰り入れ額(2008年度、1人当り)は、全国19政令市中16位(「08国保事業年報」より)。宝塚市や西宮市、芦屋市の半分しかありません。
 子どもの医療費無料は、通院はゼロ歳児だけで、市議団の「子育てアンケート」にも「西宮市から神戸に越してきて、行政サービスの悪さにびっくり」「東京から越してきました。どうして、子どもの医療費は無料じゃないのか」などの意見が数多く寄せられています。
 神戸市は、市民サービスを削るとともに、市職員も減らし続けています。神戸市による職員削減は、市民の福祉や安全に悪影響を及ぼすものにほかなりません。正規の保育士を減らし続けたため、公立保育所では、早朝保育が保育士資格のないパート職員だけ、という事態もあります。消防署員も、国の基準の87%にとどまっています。
 削った福祉を元に戻し、さらに拡充する方向を示す議会、市政に変える必要があります。

市政をチェック、ムダづかいにメス

 神戸市は、福祉はどんどん削る一方、神戸空港などムダづかいはそのまますすめています。神戸空港は、利用者は増えず、路線も減少、日本航空も全面撤退しました。経営は赤字です。神戸空港建設による借金は1,982億円。09年度から返済が始まりましたが、返すお金がないため、新たに借金をしたり、新都市整備事業会計の資金を流用して穴埋めしています。新都市整備事業会計の資金は、本来、市民の生活を守るために使うべきお金です。新たな借金による金利負担増をはじめ、神戸空港はすでに市民生活に重くのしかかっているのです。
 神戸空港と関西空港を結ぶ海上アクセスは、167億円の累積赤字を抱えています(09年度末)。神戸市と外郭団体からの貸付金も132億円に上っています。市の直接支援6億円(07年度~09年度)、市所有の駐車場の経営委託による間接的支援など、大きな持ち出しになっています。
神戸市医師会も見直しを求めている医療産業都市構想には、すでに国費も含めて1400億円が投入されました。中央市民病院も、まだ十分使えるにもかかわらず、ポートアイランド二期に移転、新築工事を進めています。その費用は1000億円です。一般病床を減らす一方で、有料個室を増やしています。このままでは、市民が利用しにくい病院になってしまいます。
 アジアの金持ちの患者を呼び込む「メディカル・ツーリズム」も進めようとしています。神戸市は、この地域を「神戸国際先端医療特区」にと、政府に申請しています。医師会が懸念している、保険外診療に道を開くものです。市民のための医療がないがしろにされかねない医療産業都市構想に多額の税金をつぎこむのではなく、市民が安心して医療を受けることができる対策をとるべきです。
 戦略港湾などといい、神戸港に新たに深いバースをつくっています。湾岸道路の延伸、神戸空港と関空を結ぶ海底トンネル構想、国道二号線の地下化という構想まで浮上しています。これではいくらお金があっても足りません。
  市民には、「お金がない」と敬老パスを有料化して、さらに値上げする一方で、神戸空港の着陸料は減免しています。ムダづかいをすすめ、市民には冷たい市政にメスを入れる議会が求められています。

市民の声に耳を傾ける市政・議会に

 市民の声に耳を傾けないのも、神戸市の特徴です。市民の声に耳を貸すことなく空港を建設し、市財政を大きく圧迫しています。
 保育所民営化も、保護者らが「公立のまま残してほしい」と声をあげ、議会にも繰り返し、請願、陳情しましたが、強行しました。敬老パスの有料化も、多くの市民が議会の傍聴席を埋める中、強行しました。友生養護学校移転問題も保護者の意見を聞くかのようなポーズを取りながら、事実上、当局計画のまま進めようとしています。市民が反対しようとも「一度決めたことはやる」という神戸市の姿勢を応援しているのが、民主、自民、公明など与党議員です。しかし、市政の主人公は市民です。市民の声を市政に反映させる議会に変えることは、喫緊の課題です。
 20114月の市議選では、市民の視点で市政をチェックし、市民や中小業者の暮らし、営業を守るために全力をあげる議員を選ぶのか、市民に冷たい市政を応援する議員を選ぶのかが問われます。日本共産党議員団の10人の議員は、市民の暮らしや営業を守るために、全力で頑張っています。日本共産党の議席こそ、市民要求を一歩一歩実現し、市政を前に進める大きな保障になると確信しています。

3 日本共産党議員団の役割と実績
 
市民の声を聞き、一緒に運動

 議員に最も求められる活動の一つは、市民の声を聞き、市政に届けることです。神戸市内には、たくさんの運動があります。神戸空港の在り方を問い続ける運動、国民健康保険料を引き下げる運動、敬老パスの無料復活を求める運動、保育所制度改悪中止を求める運動、地域の環境を守るとりくみなどです。日本共産党議員団は、これらの要求を実現するため、市民とともに運動しています。
 三菱重工神戸造船所が、突然、商船部門の撤退を発表、下請け・関連企業や地域住民に衝撃を与えています。大企業に社会的責任を求め、身勝手な撤退、工場の移転は行わないよう、強く求めることも欠かせません。日本共産党議員団は、バンドー化学が工場移転を発表した時、労働者とともに運動しました。三菱神船でも、市民とともに撤退中止を求めて運動しています。
 市民アンケートにも積極的にとりくんでいます。この3年間で、敬老パスで2回、中央市民病院問題では市民向けと開業医対象に実施。103月には子育てアンケートに、同11月には市政アンケートにりくみました。これらのアンケートには、合計3万人もの市民から回答が寄せられました。寄せられた市民の声を議会で紹介。市民の声を反映した市政運営を求めています。市民の声を聞き、切実な願い実現へ、市民と一緒に汗を流して活動しているのが、日本共産党議員団です。
 07年6月議会から106月議会までの間に出されたおもな請願・陳情は、保育所問題31件、敬老パス269件、神戸空港問題43件、国保問題26件などとなっています。これらについて、日本共産党議員団はすべて採択を求め、奮闘しています。
 貧困が広がるもとで、「困ったときは共産党」と市民から寄せられる生活相談は、年間2000件にのぼります。民主団体や弁護士とも連携して解決に力をつくしています。

ムダづかい是正へ徹底追及

 日本共産党議員団は、市民の暮らしを守るためにも、ムダづかいをやめるよう一貫して要求してきました。神戸空港、海上アクセス、複合産業団地の造成事業、中央市民病院の移転・新築、ポートライナーの延伸・複線化、神戸港の過大なバース建設、新長田南の再開発、震災復興公園計画、国営明石公園建設などが、市財政を苦しくしている原因であることを一つひとつ明らかにして、その是正を求めてきました。毎年、市予算の組み替えを提案し、新たな借金は抑制しながら市民の福祉を充実できることを示してきました。
 自民、民主議員の海外視察(08年度2回)では、「1000万円もの公費をつかっておこなうべきでない」「限られた財源は、市民の暮らしを守る施策に使うべき」と厳しく追及しました。その後、議員の海外視察は「中断」しています。 

敬老パスの負担軽減などくらし守り

 敬老パスでは、有料化が提案されて以後、その中止と無料継続を求める運動にとりくみ、109月までの2年間は、負担を半額に抑えることができました。市民と一緒に運動して、10万筆の無料継続を求める署名と議会内の論戦が、市議会や市政を動かす力になりました。
 ヒブワクチンの予防接種への助成も、10年7月から実現しています。国民健康保険料の滞納を理由に、「資格証」となっている世帯にも、保険証の交付を要求。資格証世帯の子どもには保険証の交付が実現しました。日本共産党国会議員団のとりくみと連動した結果です。また、国保証が区役所窓口に「留め置き」されている世帯にも子どもがいることを追及して、是正させました。日本共産党議員団は、保険証は全加入者に交付し、医療を受ける権利を保障するよう、一貫して求めています。国保料の引き下げに必要な財源も示し、1人あたり1万円の引き下げも提案しています。

少人数学級の促進など教育環境を改善

 保護者や教職員が強く求め続けている少人数学級。日本共産党議員団は、少人数学級の必要性を繰り返し主張。県議団とも連携してとりくんだ結果、小学校4年生まで拡大しています。
 特別支援教育では、障害児数に見合う特別支援学校の整備計画の策定を提起。友生養護学校の移転問題では、保護者の意見を聞き、現地で建て替え、障がい児の教育を受ける権利を保障すべきと提案。希望者は現在の校舎を利用して引き続き通学できることになりました。友生養護学校は、独自の特別支援学校として建設するよう求めています。

市政を動かす政策提言

 日本共産党議員団は、暮らしを守るための政策も提案し続けています。青年の雇用を増やすために「高校生就職情報提供事業」や「高校生就労支援金」制度の創設、ネットカフェ実態調査なども提起しています。建設業者などの仕事を増やすために、小規模事業所登録制度、環境対策も組み合わせた住宅リフォーム助成制度などを提案。制度融資の利子補給制度、継続雇用奨励交付金制度、中小企業振興のための悉皆調査など、中小企業支援策の拡充を一貫して求めています。
 こうした提案の中で、商店街・小売り市場による地域力アップ事業など、神戸市の施策として取り入れられているものもあります。小規模事業所登録制度も、不十分とはいえ、各土木事務所などでとりくまれています。無担保無保証人制度も1250万円まで拡大しています。

4 市議会他党派は何をしてきたか

民主、自民、公明は、空港などすべて賛成

 神戸市議会には現在、68人の議員がいます(定数69、欠員1)。日本共産党10人、民主党18人、公明党12人、自由民主党12人、自民党神戸・たちあがれ日本10人、新社会党2人、住民投票☆市民力2人、みんなの党2人となっています(2010年7月2日現在)。民主、公明、自民の4会派は、市長の提案にすべて賛成する「オール与党」です。09年度の市決算議案には、4会派とともに、みんなの党も「行政経営方針に沿った行財政改善に取り組んだ決算だ」と賛成しています。市政に対するチェック機能を果たしているのか、責任を問われるものとなっています。

市民の切実な請願・陳情に背

 20076月議会以来、20106月議会までに提出された請願は110件、陳情は464件。その内、敬老パスの「無料継続」「値上げ反対・無料復活」を求めるものや、国民健康保険料引き下げを求めるもの、保育所民営化反対、神戸空港関連など、切実な市民の要求を反映した請願・陳情は362件もあります。しかし、民主、自民、公明などは、こうした請願・陳情には、1件も賛成の態度をとっていません。保育所問題では、「住民投票☆市民力」議員団(現在の「みんなの党」も含む)も、「民営化は必要」との態度をとっています。

5 日本共産党の重点政策

ムダづかいのツケを市民に押しつけることは許されません。全会計を合わせた神戸市の財政規模は、約2兆円です。日本共産党議員団は毎年、予算の組み替えを提案し、自治体のお金のつかい方はどうあるべきかを具体的に提起しています。市民のくらしと営業を守るため、神戸市が実施すべき重点施策を提案します。

①くらし、福祉を最優先に

★国民健康保険料が高すぎて払えない世帯が増えています。保険証が交付されず、病院にかかるのが遅れ、命を落とすという事例が、神戸市でも起きています。保険料を滞納している世帯には、「督促状」「差し押さえ」という強硬手段ではなく、生活再建まで援助する体制を整えます。保険証の取り上げは中止します。一般会計からの繰り入れを増やして、保険料の引き下げ・減免の拡充、窓口負担の軽減をはかります。
★新中央市民病院は、市民の入院が妨げられることのないよう、一般病床を増やし、有料個室を減らします。同時に、差額ベッド料なしの利用にも柔軟に対応します。
★医療産業都市構想は、保険外診療に道を開くものであり、医師会からも批判、不安の声が強く出されています。神戸市にとっても多額の財政負担が生じることから、事業は中止します。その上で、情報を公開し、広く医療関係者、市民の意見を聞きます。
★介護保険料(基準額)も、制度開始時の2000年の3137円から、現在は4640円へと1503円も上がっています。特別養護老人ホームの入所待機者は6365人(201010月現在)にのぼり、なお増え続けています。一般会計からの繰り入れを増やすなどして、介護保険料や利用料を抑えます。小規模なものも含めて特別養護老人ホームを増やします。
★敬老パスは、無料に戻します。
★障害者自立支援法は一日も早く廃止し、「応益負担」のない、障害者が安心して生活できる法律の成立へ全力をあげるとともに、それまでの間、市として、利用者の負担軽減策を拡充します。
★不安定雇用の広がり、派遣切りなどで、生活保護を必要とする人も増加しています。必要な人が安心して受給できるようにします。申請書を窓口に設置するとともに、住宅がなくても支給できるよう、改善します。上下水道の減免制度を復活します。高齢者や低所得者に空調費を助成する制度を創設します。
★多重債務や就労支援、住まい情報の提供など、市民の願いにワンストップで対応できる窓口を区役所に設置します。
★納税相談窓口を区役所に戻し、納税者の権利を尊重して丁寧に対応します。
★市民のプライバシーに関わる戸籍入力や税金徴収業務などの民間委託は中止します。
★パート、アルバイト中心の市役所・区役所の窓口業務を改め、福祉、健康、教育部門や保育所などの正規職員を増やします。保健所を各区に設置します。
★空港島の土地売却や開発部門に携わる職員を減らし、福祉など市民生活に直結した職員を増員します。
★不正経理処理など不正について、原因・背景を徹底究明し、再発を防止します。

②子育て支援と教育・文化環境の充実を

保育所の待機児童は、2010111日現在で、2,697(第一希望)もいます。市議団の「子育てアンケート」でも、保育所増設を求める声や、就職先が決まっていないと、実質的に、保育所に申し込めないというやり方の改善を求める声も強くよせられています。
★政府が進めようとしている、保育基準の引き下げなど保育制度の改悪を許さないため、市民と運動します。
★子どもの健やかな成長を保障し、すべての子どもが基礎学力を身につけられるようにするための施策を強化します。憲法とこどもの権利条約をいかした施策の推進に力をつくします。
★小中学校全学年での30人学級導入をめざします。
★東灘区や西区などで、過大規模となっている学校を解消するため、学校の新設など、必要な対策を進めます。
★学校現場の声を聞き、加配教員を増員します。
★子どもの医療費を中学校卒業まで無料にします。
★全国の80%で実施されている中学校給食を実施します。
★就学援助の所得基準を引き上げ、支給内容も改善します。保護者からの教育委員会への直接申請制度を残します。
★学童保育を拡充します。地域方式の学童保育への助成を増やします。
★これ以上の保育所民営化はやめ、公立保育所は公立で建て替えます。併せて社会福祉法人による保育所増設も進め、待機児童の早期解消をめざします。社会福祉法人で働く人たちへの処遇改善などの施策を拡充します。
★児童虐待防止策を拡充します。
★文化団体への支援を強化します。
★気軽に利用できる演劇や音楽の練習場を各区に整備します。
★地域のスポーツ団体への支援策を強化します。

③中小企業・地場産業の振興で雇用の拡大を

 神戸経済を支えている中小企業は、全事業所数の99%、就業者の約71%を占めています。ところが、神戸市の産業政策は、神戸空港、医療産業都市構想、外部からの企業誘致に偏重しています。神戸市の経済を活性化させるには、不安定雇用をなくし、市内の中小業者の仕事を増やすこと、商店街や市場、地場産業の活性化策など、地域の需要を増やす対策を中心に据えるべきです。
 神戸市は、工事だけでなく、購入も、市内の中小業者にたくさん発注すべきです。その際、発注額は、受注企業で働く人が生活を維持するに見合う額が保障されるよう設定することです。そうすることで、中小企業の営業も従業員の生活も守られ、市税収入増にもつながります。
★官公需の発注を中小企業優先で進めます。
★融資制度を改善し、中小企業・市場・商店街への予算を抜本的に増やし、支援を強めます。
★中小企業振興条例を制定します。官製ワーキングプアをなくすためにも公契約条例を制定します。
★市営住宅、学校、福祉施設の建設や改修など、生活基盤型の公共事業など中小業者の仕事を増やし、雇用も増やします。
★市内業者を対象とした、住宅リフォーム助成制度や小規模事業者登録制度を導入します。
★大企業に社会的責任を果たすことを求め、リストラを規制します。
★三菱神船の商船部門の撤退の中止を求めます。
★高校生就職支援事業を創設します。
★市の教育・福祉職員の新規採用の拡大などで、青年の雇用を拡大します。
★地域経済と結びつけた神戸港の総合的な発展策を港湾労働者と市民参加で検討します。
★農水産物の地産地消のとりくみを支援します。
★政府の小規模農家切り捨て策に反対し、神戸の農家のくらしを守ります。
★神戸ブランドの育成など、農業・漁業の振興をはかります。
★町なみや景観、資源を生かした観光施策の充実、市民や地元業者の知恵と力をあわせた観光振興をはかります。

④被災者の生活支援、防災対策の拡充

 大震災から17年目に入り、災害公営住宅の入居者の高齢化、コミュニティの弱体化がすすんでいます。中小業者の多くが、被災の後遺症と長引く消費不況によって、厳しい経営状況が続いています。
★災害援護資金は、返済免除と生活実態にあわせた返済を国に求めます。
★生活再建500万円、住宅(店舗・工場含む)再建500万円を実現するために、生活再建支援法改正へ全力をつくします。
★借り上げ期間満了の借上災害公営住宅について、入居者に退去を求めるのではなく、入居者のコミュニティを重視し、継続して借り上げ住宅として運営します。
★新長田駅南の再開発事業は、未着手地域を再開発事業からはずすことをふくめ、住民参加で計画を見直します。
★災害公営住宅での見守り態勢を抜本的に強化し、コミュニティづくりを支援します。
★震災障害者の実態調査と支援にとりくみます。
★今後の自然災害に備え、公共施設の耐震化促進、豪雨対策や津波・高潮対策などにとりくみます。

⑤環境を守り、住民本位のまちづくり

★地球温暖化対策として、市内主要企業との協定締結をすすめます。
★ゴミの分別収集を改善し、収集回数を増やします。
★ゴミ収集の有料化に反対します。
★神戸製鋼所の石炭火力発電所については、中止も含めて検討します。
★アスベストによる被害の健康調査と救済に幅広くとりくみます。石綿含有砕石の混入実態調査と対策をすすめます。
★地域に密着した便利な市バス路線を増やし、コミュニティバス導入やパークアンドライドを拡充します。総合交通課を創設し、地域のまちづくりと一体となった交通体系を検討します。
★市営住宅を増やします。市住家賃の減免制度を元に戻し、拡充します。
★若年世帯への家賃補助制度を復活させます。
★無秩序なマンション建設に歯止めをかけます。
★大型店の出店、撤退に対する規制を強めます。

⑥ムダな大型開発をストップ

★神戸空港会計に市民の税金をつぎ込むことを許さず、空港中止を含めて、今後のあり方について市民の意見を聞きます。
★海上アクセスの運行は中止します。
★建設費が5,000億円ともいわれている湾岸道路の延伸(西伸)は中止します。
★医療産業都市構想は、中止し、広く医療関係者や市民の意見を聞きます。
★本州四国連絡橋への出資は中止します。
★中央市民病院のPFI事業を見直します。一般病床を増やし、有料個室を減らします。

⑦憲法を守り、非核「神戸方式」堅持

★非核「神戸方式」を日本各地に、世界に発信します。
★非核「神戸方式」を堅持し、記念碑を神戸港に建立します。
★憲法改悪には断固反対します。
★国民保護計画によって市民の自由・権利が抑制されないようにします。
★平和行政を担当する窓口を設置し、総合的な平和施策をすすめます。
★平和記念館を建設し、市民と来訪者に、非核「神戸方式」を広く知らせます。

⑧議会改革
★議員一人あたり100万円の海外視察は中止します。
★費用弁償は廃止します。
★市議会の議会運営委員会など、会議のすべてを公開します。
★休日の議会開会など、議会改革について引き続き提案します。

⑨暮らしを守る財源はあります

 神戸市は、市民が要求実現を求めると、必ず「財政が厳しいからできない」と言います。2兆5000億円もの借金を抱えているのは事実です。しかし、神戸空港、新長田駅南再開発事業をはじめ、ムダづかいを進めた結果です。ツケを市民に押しつけることは絶対に許されることではありません。神戸市の総予算規模は約2兆円です。予算の使い方を暮らし優先に改めれば、市民の切実な要求実現へ必要な経費は出てきます。
 日本共産党市会議員団は毎年、予算の組み替えを提案しています。新たな借金は抑制しながら、市民のくらし・福祉を充実する具体策を明らかにしてきました。2010年度予算でみれば、不要・不急施策の中止などで、くらし・福祉の充実に使える財源が約160億円でてきます。また、新都市整備事業会計の資金を、計画的に一般会計に繰り入れたり、基金として運用することによっても、市民生活を守るための財源は生まれます。
あらゆる施策をチェックし、ムダなもの、急がなくてもいいものを精査することで、市民の生活を守る財源は捻出できます。もともと、税収など神戸市の収入が減った場合には、地方交付税で財源は補てんされます。肝心なのは、市政が「住民福祉の機関」としての役割りをはたすという立場でとりくむことだと考えます。日本共産党は、市民の福祉・暮らし・営業を守るため、全力で頑張る決意です。