2010年5月19日水曜日

子育て支援についての政策

日本共産党の「子育て」支援政策(兵庫県版)

一人ひとりの子どもが大切にされ、
安心して子育てできる社会に


2010年5月19日
日本共産党兵庫県委員会
兵庫国政委員長 堀内照文

子どもは未来の主人公、社会の希望です。でも日本では、子どもや子育てに対する社会的な支援が先進諸国のなかできわだって弱く、子育てがとりわけ困難になっています。
日本共産党は、兵庫県各地で、中学校卒業まで子どもの医療費無料化や少人数学級を求める「こども署名」を県民のみなさんといっしょに広げ、子育てしやすい日本・兵庫県をつくるため、運動を続けてきました。また、県内各地で日本共産党市町議員団が中心となって「住民アンケート」などにとりくんでいますが、どこでも子育て支援は、切実な願いとなっています。
「子育て」を家族や親の「自己責任」だけに押しつけるのは間違っています。子どもと子育てのための予算を抜本的に増額し、人間らしい働き方とくらしの実現、子どもたちが大切にされ、だれもが安心して子育てできる社会をめざします。
財源は、軍事費と大企業・大資産家優遇税制にメスを入れれば確保できます。また、民主党政権は来年度、子ども手当に総額5兆円をこえる予算をつぎこむ方針ですが、総合的な子育て支援こそ必要ではないでしょうか。

1. 男女ともに、子育てできる働き方・社会に

青年の二人に一人が非正規雇用です。結婚、子育てに直面する年代である25歳から34歳の労働者のうち、年収2百万円に届かない人は3百万人以上にのぼります。これでは結婚や子育てをするのは困難な状況です。
また、日本共産党神戸市議団がおこなっている「子育てアンケート」(以下、「子育てアンケート」。※数字は2700通分の中間集計)には「仕事では、残業が無く、休める職場づくり。両親が子どもに関われる時間を多くしてほしい」「子どもを保育園に預けて働いていますが、子どもが病気になった時、自分は仕事を休まなければならず、いつも悩んでいます」といった声が多くよせられました。「仕事と子育ての両立が難しい」と答えた人は全体の約22.9%です。小学校入学前の保護者では、子育てで力を入れてほしいものとして、21.1%が「会社・職場の理解」、12.9%が「産休、育休の改善・拡充」と答えています。日本共産党加古川市議団の「市政アンケート」にも「もっと育休の手当てを始め、子どもを産める環境を作ってほしい」との声がよせられています。
子どもを安心して生み育てるためにも、「人間らしく働ける」「働くなら正社員が当たり前」というルールを確立することは不可欠です。そして、親が子どもと一緒にすごす時間をもてることをはじめ、「家族的責任」(ILO156号条約)を社会のルールとして確立する必要があります。働きながら子育てすることがよろこびとなるような「働くルール」をつくるためにがんばります。

・妊娠・出産にともなう解雇や退職勧奨等をやめさせます。
・育児休業制度を改善し、男性の取得促進をはかります。休業中の所得保障を6割に増額します。
・短時間勤務制度や残業免除制度、子どもが病気の時や学校行事への参加等にも使える「家族休暇」制度をつくるなど、子育てと仕事を両立できる制度を拡充します。
・結婚・出産へふみだせるよう、住宅、生活、出産費用への援助など若い世代への支援をつよめます。
・就学援助や母子手当の拡充、シングルマザーや父子家庭への支援を強めるなど、「子どもの貧困」の克服に力を尽くします。

2. 子育てに関する相談体制などを拡充します

保育が必要なときにいつでも預けられるように、国の責任で認可保育所を増やします。
旧自公政権が2004年に、地方交付税の大幅削減と同時に公立保育所の国庫負担金を廃止・一般財源化したことによって、兵庫県各地で公立保育所の民営化が進められ、認可保育所の建設は抑えられてきました。それが待機児童急増の原因となり、兵庫県では、2007年当初で795人(4月1日)だった待機児童が、2009年には1073人(同)に増えています。毎年、年度当初より待機児童はどんどん増えるため、2009年10月には1765人となっています。さらに、潜在的な待機児童は全国に百万人いると言われます。
そのため、「子育てアンケート」では、小学校入学前の保護者の44.3%が、「保育所を増やしてほしい」と答え、「子ども手当より保育所の増設を」という声が、たくさんよせられています。このような事態を変えて、国民の願いにこたえるために、日本共産党は国の責任を明確にした「保育所整備計画」をつくり、当面1年間で全国に10万人、3年間で30万人の保育所を新・増設し、保育所へ入りたくても入れない子どもをなくすための体制をつくることを提案します。

・保育所の新・増設のための国庫補助の復活、引き上げをはかります。
・安心してあずけられる保育所へ……子どもたちをぎゅうぎゅうづめにする状態を解消し、延長・夜間・休日・一時保育などのねがいにもこたえられるようにします。
・保育士の正規化、増員、配置基準の改善をすすめます。
・国や自治体の責任を後退させる保育制度の改悪は、日本の将来に禍根を残します。絶対に反対です。
・保育料が高すぎます。幼稚園児の保護者への国の助成制度を拡充、保育所では国が財政的に負担して、低中所得世帯の保育料を平均で3割程度引き下げ、失業や減収の場合の緊急の保育料減免制度をつくります。
・学童保育は、国の予算を抜本的に増額し、希望する子どもの全員入所、安心して生活できる設置・運営基準、指導員の労働条件改善など、拡充をはかります。

3. すべての子どもに豊かな保育を

格差と貧困の広がりを背景に、児童虐待などの相談件数が増えています。また、神戸市内の中学生が大麻を所持し逮捕されるという事件がおき、子どもをめぐる地域・社会の状況についても、不安が広がっています。

・子育ての悩みにこたえる、専門的できめ細かな相談体制、個別の訪問活動などを拡充します。
・児童相談所、保健所、子育て支援センター、児童養護施設など、子どもにかかわる専門機関や施設の増設、職員の増員をはかります。

4. 子ども医療費の無料化へ国の制度をつくります

「子どもの医療費無料化」への願いはたいへん大きいものです。「子育てアンケート」でも、小学校入学前の保護者の40.2%、小学校・中学校の保護者の42.2%が「医療費を無料」にしてほしいと答え、「未来の有る子どもたちが親の収入や経済状況で…必要なときに医療機関に受診できない状況は親として本当に情けないし、つらい」という切実な声がよせられています。
日本共産党は、「子どもの医療費を中学卒業まで無料」にすることなどをもとめる「こども署名」を兵庫県下各地で、住民のみなさんと力を合わせてとりくんできました。そして、県の助成制度を小学校3年生まで広げ、西宮市、小野市、福崎町では中学卒業まで無料が実現しました(全国では、群馬県や東京都23区で、中学校3年生まで医療費無料を実施しています)。

・小学校入学前の子どもの医療費無料化を、国の制度として実現させ、各自治体の独自施策を上乗せして、中学卒業までの無料制度が実現できるようにします。

5. 高校授業料無償化、大学学費負担の軽減、奨学金の拡充をすすめます

「子育てアンケート」では、高校・大学の保護者で「私立高校の授業料も無料に」を求めている人が37.1%、「返済しなくてもいい奨学金制度」が25.4%、「無利子の奨学金を受けやすくする」が38.6%、「大学の学費減免制度の拡充」が31.2%となっています。「子育てで、経済的に本当にたいへんなのは、大学生」という声も多くよせられています。国立大学の初年度納入金は標準で82万円、私立大は平均130万円で、重い負担です。奨学金を借りて大学に通い、卒業時には数百万円もの借金となるという人も増え、財政的な支援は急務です。

・私立高校の授業料を実質無料とします。朝鮮学校の授業料無料の除外をやめます。
・国立大学の授業料減免を広げます。
・私立大学生の授業料負担を減らす「直接助成制度」を創設します。
・国の奨学金をすべて無利子にし、返済猶予を拡大します。とくに就学が困難な生徒・学生のため、欧米では主流の返済しなくてもいい「給付制奨学金制度」を創設します。

6. 少人数学級でどの子もわかるきめこまかな教育をすすめます

どの子もていねいに育て、わかる授業をすすめるためには、少人数学級が必要です。日本共産党は、30人学級を中学3年生まで実施するために「こども署名」にみなさんといっしょにとりくみ、兵庫県では4年生まで35人学級を実現することができました。少人数学級をさらに広げるためにがんばります。

・国の責任で「30人学級」を実施させます。
・子どもたちにストレスと重い負担をもたらしている、ゆきすぎた競争と格差づくりの教育をやめさせます。

7. 中学校給食を全校で実現します

「子育てアンケート」で、小学校・中学校の保護者のからよせられた回答では、「中学校での給食実施」を求める声が52.2%にもなっています。兵庫県内で中学校給食を実施している学校は、49.6%(2007年度)にすぎず、全国平均の75.4%(同)と比べても、かなり低くなっています。日本共産党加古川市議団の「市政アンケート」によせられた、「働く主婦にとって朝のお弁当は負担…(中略)手抜き弁当より、バランスの取れた給食の方が健康にも良い」というねがいは、当然です。

・中学校給食を全校にひろげます。
・給食費無償化の方向を検討し、生活の実態に応じて、必要な免除措置をすすめます。

日本は子どもの権利条約批准国であるにもかかわらず、子どもたちの権利を守る施策があまりにも不十分です。管理をつよめる教育や過度な競争から、子どもたちはストレスをかかえ自己肯定感をもてず、いじめや自殺が多発しています。こんな事態に、多くの国民が胸を痛めています。
いまほど、一人ひとりの子どもが真に大切にされる社会へ、子どもの権利条約の立場で、子どもと子育てをめぐる問題を見直すことが求められているときはありません。政府と社会が、「子どもの最善の利益」のために、福祉、教育、文化、子育て支援の充実を最優先にはかることは、国際的には当たり前のことになっています。子どもの権利条約を社会のすみずみに実現するための国民の共同を広げます。